blog庄司園長の部屋

グループホームへのスプリンクラー設備設置について~特定施設水道連結型スプリンクラー設備設置について~

実地指導を目前にブログを書いている暇はないだろうと、想いながらも、昨日からグループホームを運営している事業所さんからホームのスプリンクラー設備の設置についてのお問い合わせがありましたので、当法人で現在進めているスプリンクラー設備の設置について概要をまとめさせていただきます。私も朝からインターネットで検索していますが、業者さんの宣伝ばかりでホーム側からの事例報告がありませんでしたので、現在、スプリンクラーの設置を検討されている方々のお役に少しでもなればと思います。

さて、高齢者、障がい者のグループホームでの火災を受けて、「消防法施行令の一部を改正する政令」の施行により、障がい者グループホーム等については、これまであった面積要件(延べ面積275㎡以上)が撤廃され、入居者の内、障がい支援区分4以上の入居者が8割を超えるホームについては、面積の如何を問わず、平成30年3月31日までにスプリンクラー設備を整備しなければならないことになりました。当法人が運営するホームについては、6カ所ほどがこの基準に該当するようです。

そこで今年度は、山形市長町にあるグループホーム「つばさ」、「あすなろ」の2か所にスプリンクラー設備を設置することとして、「平成26年度山形県障がい者支援施設等消防用設備設置等事業費補助金」に申請を行っているところです。

スプリンクラー設備というと、建物側に貯水槽を設け、家事等の場合は、ポンプ等が稼働し、天井に取り付けられたヘッドから水を散水するというタイプのものが一般的ですが、その他に、福祉施設等で面積が1000㎡未満建物については、「特定施設水道連結型スプリンクラー設備(以下、水道直結型スプリンクラー)」として、貯水槽やポンプを設けず、水道管に直結させてよいものと、「パッケージ型自動消火設備」と言って、大きな消火器のようなものを備え付け、万が一の場合は、ヘッドから消火剤を噴霧するタイプのものがあるようです。

今回、つばさ、あすなろに設置するのは、水道直結型スプリンクラーです。選んだ理由は、と言えばやはりコストです(安全性については、従来のタイプと変わらないようです)。従来のタイプは、貯水槽から各部屋まで鉄パイプでつなぐのですが、水道直結型は、ビニールパイプで良いのだそうです。また、貯水槽や動力ポンプも要らないので、従来のものに比べ低価で設置できるようです。「パッケージ型自動消火設備」については、消防車等を販売する会社1社のみで、日本全体でも設置件数が少なく、消火器のように消火剤を交換しなければいけないので、割高になるかもしれないとのことでした(決してダメだと言っているわけではありません。未知数すぎるということです)。水道直結型スプリンクラーを設置するには、水道管を太くしなければなりませんので、ホームが建っている場所によっては、太い水道管を何十メートルも入れなければならないため、従来のタイプの方が割安だというケースもあるようです。

実際の費用ですが、つばさは、工事費、設計監理費込みで600万円ほど、あすなろは、470万円ほどです。入居する方々が生活する中での工事になりますので、工事時間も限られており、その分割高になるようです。現在、「平成26年度山形県障がい者支援施設等消防用設備設置等事業費補助金」に補助申請を行っているところですが、1㎡あたり18,000円の補助単価のようです。つばさは、200万円ほど、160万円ほどの補助をお願いしているところです。先日、国の方の27年度予算案が出されましたが、基盤整備分は、相当減額されているようです。ホームへのスプリンクラー設備設置に係る補助はいつまで続くのでしょうか。

まだまだ計画段階での報告ですが、参考にしていただければ幸いです。

今年もよろしくお願いします

明けましておめでとうございます。つまらない文章ですが、今年もお付き合いお願いいたします。

年末年始は、9連休という会社もあったようですが、福祉の仕事はそんな訳にはいきません。大晦日も、正月も厭わず働いてくれたスタッフにまずは感謝です。また、この正月は例年以上に雪が多く、除雪車を運転できるスタッフは、交代で出勤し、朝早くから除雪をしてくれたようです。園長が知らなかったのかと、怒られそうですが、指示しなくともサビ管、リーダーが中心となり、動いてくれるので、大助かりです。本当にありがたいことです。

さて、今年は当法人が設立されて30年の節目の年になるようです。現在、中長期計画を作成しているところですが、私の分担は、法人が設立された昭和60年からこれまでの歩みを追いながら、制度、行政の動向、競合する他事業所の動向等の法人環境のまとめを行う部分です。

法人を設立し向陽園を開設した「創業期」、向陽園の定員を拡充し、短期入所をはじめた「拡大期」、グループホームを開設し、施設から地域へとシフトを移した「転換期」、ホームや日中サービスを市内各所に開設した「飛躍期」、そして現在は、「変革期」です。

社会福祉法人の在り方を巡る議論、先日の障がい福祉サービスの報酬削減の報道等の外部要因もさることながら、利用者支援、財務状況等、我々が変えなければいけないこと、変わらなければならないことがらは山積しています。

ご家族の方々、そして第三者委員の方々から頂いたご意見も真摯に受け止めながら「変革」いや、一段高いレベルを目指し、皆で知恵を絞り、汗を流す一年にしていきたいと思います。

年末年始のお休みについて

早いもので今年も数えるのみとなりました。

愛泉会の日中系サービスについては、
12月27日~1月4日までお休みとさせていただきます。
(北部支援センター、ぷるぷる、月のひかりは、12月28日~1月4日まで)

向陽園には、常時職員がおりますので、何かありましたら、向陽園の方にお問い合わせください。
℡ 023-688-5883

良い年をお迎えください。

自己理解と他者理解

年を取ったせいでしょうか、最近は、高校生の頃に聞いていたニューミュージックのCDを購入しては、昔を懐かしんだりしています。少し前は、アリスを、そして最近は、出退勤時にさだまさしのCDを聞いています。ある裁判で、罪を犯したことを反省しない被告に対し、裁判官が、さだまさしの「償い」を聞いてみろと言い、判決を言い渡したのは有名な話ですが、道を見失いかけている若い職員、自信を失いかけている若い職員に私が勧めるとしたら、さだまさしの「風に立つライオン」です(何のこっちゃ)。

さて、先日行われた県協会主催の施設長研修会に北摂杉の子会の松上先生が講師としておいでになり、講演の中で、福祉の仕事を担う職員に大切なのは、「自己理解と他者理解」とおっしゃっていました。「他者理解」については、当然ですが、この仕事は、人間を相手にする仕事であり、福祉は、社会や人との関係の中で「生きづらさ」を抱え困っている方々です。昔々の話になりますが、「友愛訪問」というものがありました。金持ちの奥様達が、貧困で困っている家庭を一軒一軒回り、「貧乏なのは、あなたが怠惰で、働かないから悪いんだ。働きなさい。」と言って歩いたそうです。果たして、貧困は個人の資質に問題があるからなのだろうか……。そこから理論化、体系化されていったのが、「ソーシャルケースワーク」です。社会と個人との関係を見て、考察していく(診断)……、貧困は、決して個人に問題があるからではありません。同じように、私たちが日々接している知的障がい、自閉症と言われる方々も、上手く言葉で我々に伝えることができないために、時に行動で何かを訴えることがあります。その行動の意味を知るためには、知的障がいのこと、自閉症のことを理解しなければなりません。この世界でお金をもらって生きていくならば、その対象とする方々を理解していくのは、当然ですよね。

そして、「自己理解」です。我々は、機械や物を使って仕事をしているわけではなく、自分自身を使って仕事をしています。なので自分自身がどのような人間なのか理解しておくことが必要です。福祉の世界では、「自己覚知」などという用語を使いますが、尾崎新先生は、「自己活用」という考え方を使っています。「専門家としての自分や自分の個性を援助関係のなかで生かすために、援助者は自分を多面的に理解する必要がある」のだと……。「自己覚知」というと求道者的なイメージですが、「自分を生かすために理解する」と言われると、入りやすいですよね。私自身、様々な方々と接していて、マイナスの感情が無意識に引き出されることがあります。支援の中で、好き嫌いで対応を変えたり、無意識の内にマイナスな感情が引き出されるのは、専門家としてやってはいけないことですが、だから押さえろと言われても、大変ですよね。この仕事は、「感情労働」と言われていますが、自分で抑圧した感情は、どこかで吐き出さなければなりません。カウンセリングや上司や仲間の活用が必要になるでしょうか。チームワークの良い事業所は、やはり良い支援をしています。

もうすぐ新しい年を迎えますが、新しい年の目標を決める際の枠組みとして、「他者理解」と「自己理解」、2つの枠組みで考えて見てはいかがでしょうか。

今回は、若い職員へのメッセージとして書いてみました。昔々のことになりますが、海外青年協力隊への想いを母親に話した時、日本の中にも生き辛さを抱え、困っている人たちはいるんだと言われたことがありました。3K職場と言われ、大変な仕事かも知れませんが、福祉の専門家を目指し、「風に立つライオン」のように凛としていましょう。自分自身に向けたメッセージかもしれませんが……。

愛泉会の職員は何故自由な服装で仕事をするの……?にお応えして

山形市内は、朝から雪が降りやまず、管理員さんは、早朝から休む間もなく除雪車の運転です。幸いどこの事業所からも雪による被害の情報は入っていませんが、どこの事業所も、早朝から除雪で大忙しではないかと思います。大雪になると、除雪等で営業開始時間が遅くなるものですが、愛泉会の職員は、利用する方々の生活リズムを崩さないようにと、大雪の日は、朝早くから出勤し、いつもの送迎時間に車が出発できるようにと準備をしてくれています。こちらから命令するわけではなく、事業所で話し合い実施してくれるようです。本当に頭が下がります。

さて、かれこれ17、8年ほど前になるでしょうか、権利擁護、倫理綱領等の作成のため、北海道の「剣淵北の杜社」さんに1週間ほど研修に行かせてもらった時も今日のような大雪でした。当時、施設で働く職員の格好と言えば、ジャージにトレーナー姿が一般的で、向陽園もお揃いのジャージではありませんでしたが、職員は皆、ジャージ姿で働いていました。たまにジーパンやスラックスで出勤すると、「今日はお出かけ?」と利用者さんから質問を受けるような感じでした。剣淵北の杜社さんにも一応は、スラックスでお邪魔したのですが、あいさつが終わっても、一向に着替えをしろと促されることはなく、一日スラックス姿で現場で働きました。周りで働く職員の方々は、それぞれジーパンやスラックスで、ジャージ姿の職員は一人もいませんでした。

剣淵北の杜社さんは、当時としては、飛び抜けて進んでいた施設で(向陽園が遅れていただけでしょうか)、夜間、利用者さんが飲酒することが自由でデイルームでお酒を飲んでいる方もいました。たまたま、管理職の人が居合わせて、酒でも飲むかということでお酒をいただいたのですが、その時、職員の服装のことを尋ねると、「職員自身が自分の個性や好みを大切にしなければ、利用する方々一人ひとりの個性や好みを大切にすることはできない。また、利用する方々にとっては、職員も一つの環境だ。赤い服の職員がいたり、青い服の職員がいたり様々いる。そして次の日は、また違った色の服装で出勤する、その方が変化があり良いのではないか。施設だからジャージではなく、市井で暮らす人間と同じ服装でいた方がよりノーマルではないか。だから職員には、思い思いの服を着てもらっている。」とのお話でした。

そのお話に共感し(何を学びに行ったか分かりませんが)、向陽園に帰るや否やジャージで働くことを止め、気に入った服装で毎日出勤するようにしましたが、当初は皆、猛反対でしたが、村井センター長をはじめ考えに共鳴してくれる人も出始め、徐々に愛泉会で働く職員の姿も変化し、現在は、大半の職員がジーパン姿で働いています。

先日、愛泉会の事業を利用する方々、ご家族にサービス内容等について、アンケートをお願いしたところ、服装や容姿に関するご意見をいくつかいただきました。以前も「老人施設では、同じユニフォームで働いているところが多い。向陽園もそうしたらどうか」というご意見をいただいたことがありましたが、このような意図で職員の服装を自由にしているところです。社会人として度を越したもの、周りにいる方々に不快感を与えるような格好については、言語道断ですが……。

現在、皆さんからいただいたご意見を元に、それぞれの事業所でサービス、環境改善に向けた、改善案を検討しているところです。来年、法人設立から30年目を迎えますが、いくら年月を重ねても、時代やニーズ、皆さんの声に応じて、「変わる力」を持ち続ける愛泉会でいたいものです。

世話人さんの言葉から

あっという間に12月。この1年の仕事を振り返り、自分が思い描いたように仕事が進められたかどうか、職員一人ひとりにレポートを書いていただき、先週末から読まさせていただいております。今年は、世話人さんや就労継続支援A型事業所で働く方々からも、「自分自身が仕事をする上で大切にしていること」のテーマで書いていただきました。どれもこれもが、仕事に対し真摯に取り組まれている内容、そして心が温まるものでしたが、その中からいくつか紹介させていただきます。

世話人さんの言葉から、
「入居者の方々に元気に声掛けすること『おはよう』『いってらっしゃい』『おかえりなさい』」
「事業所より持ち帰った作品などを受け取る時は、『上手にできたね』『どこに飾る?』と誉めること」
「皆が話を聞いてほしいと思っているので、公平に会話するように努力すること」
「何かあった時は必ず、支援員、そして同僚に報告、連絡、相談すること」
「おかず、味噌汁……、口に入れた時に『おいしい』と思える味付けを心がけています」
「ホームで皆が寛ぐ『ティータイム』を大切にしています。今日の昼間にあったこと、ヘルパーと出かけたこと、TVで見たこと、果ては懐メロまで……、様々な話が出てきますが、皆さんと信頼関係を作ったり、一人ひとりのことを知るためには、大切なことです。時々、解らない内容の時もありますが、否定しないように注意して聞いています。ティータイムの時間にこの仕事をする上で大切なことが凝縮されているように思います。」
そしてこんな言葉もありました。
「この職場で働くまでは、本当に遠い存在の場所でした。縁あって働かせていただいてからは、それまでの生活は、狭い一角の中で生活していたのではないかと感じています。この数年で自分も成長できたことを感謝しています。」

そして最後に、生活介護をお手伝いいただいている大先輩の言葉です。
「この仕事にプライドを持つこと」

一つひとつの言葉の中に、愛泉会で大切にしている基本理念が詰まっています。
皆さんのそうした思いに支えられて、今年も無事に終えることができます。ありがとうございました。

心の会話

以前にも紹介させていただいたと思うのですが、愛泉会では、日々の業務、利用する方々との触れ合いの中での「気づき」を大切にしてもらいたいことで職員皆から業務日誌を書いてもらっています。今回は、そんな中から一つ素晴らしいなと感じた「気づき」を紹介させていただきます。基本的に、業務日誌については、直属の上司を含め数人の職員しか見てはいけないことになっていますが、他の職員の方々にも見てもらいたいなと思いましたので、ご本人に承諾をいただいて紹介させてもらいます。

この日、A支援員は、同僚のB支援員とともに利用する方々数人と事業所側の公園まで散歩に出かけました。A支援員は、通所利用のCさんの車いすを押していたようです。
「この散歩の日、Cさんとの会話の中で『ブランコに乗ったことがない。乗ってみたい』という想いを抱いていることがわかり、『是非叶えてあげたい!!』と自分の心に火がついてしまった。B支援員にお願いして、B支援員の膝に乗っての人生初のブランコに挑戦……、見事成功。」

Cさんは、心身に重度の障害を持つ男性です。ご本人自身から言葉で物事を伝えることはできません。Cさんの意思の確認は、こちらから問いかけをし、頷きや表情などから判断させてもらっているようです。A支援員は、公園で一休みしている時のCさん視線から、ブランコに乗りたいのではないかと感じ、「ブランコに乗りたいの?」と問いかけ、ブランコ挑戦に至ったようです。漫然と業務をこなそうと考えていたのでは、気づかないことですし、相手の立場に立って考えなければ、行動に至らなかったのではないかと思います。

愛泉会の事業所を利用する方々の多くは、言葉で自分の想いを伝えられない方々です。言葉と言葉のやり取りではなく、相手の表情やしぐさ、行動から、想いを察し、「……したいの?」「……と思っている?」とエコーのように投げかけることによって成立する会話、心と心のやり取り、心の会話を大切にしたいものです。

最後にA支援員は、このように結んでいます。
「私にとっては、ブランコに乗ることは普通のこと。しかし、Cさんにとっては、夢だったかもしれない。あらためてすごい職業に自分は就いたなと思った。」
本当にすごい仕事です。

上半期を終了して

台風19号による被害が心配されましたが、何事もなく通過してくれたようです。4年前の水害の際には、皆様に様々な形で支援していただきましたが、その時に「50年に一度」と言われた豪雨が、最近は毎年のように見られます。今年も7月に向陽園がある本沢地区に大雨による避難勧告が出されました。台風や大雨注意報が出るたびにドキドキです。

さて、26年度も上半期が終了し、振り返りを行っているところです。サービス管理責任者、リーダーから報告書を作成してもらい、やり取りをしているところですが、再度見直しをしてもらうものが多くなってしまいます。職員は皆良くやってくれていると思ってはいますが、ついつい求めるレベルも高くなってしまいます。向陽園の事務長をされていた菊池勲先生が、20年ほど前の機関誌に、「福祉は、今日の時点がゼロだ。今日頑張ってレベルを1つ上げたとしても、明日になればゼロからのスタートだ。これで良いということはない……」と言ったことを書かれておられました。支援する側の慢心は禁物です。

今年度は、「現場にできるだけ権限を持たせ、現場レベルで判断し、事業を進めてもらいたい」「現場レベルで責任を持ち事業を行いながら、実力をつけていってもらいたい」との思いから、組織体制をフラットにし、サービス管理責任者、リーダーが中心となり、事業を進めていくような体制にしております。それだけに、サービス管理責任者、リーダーの役割は重大です。マネジメント力、リーダーシップ力、現場力……、様々な力が試されてきます。

また、自分の事業を良く見せようとすると、どうしてもいつもとは違った取り組みをしたことやイベントを書きたくなるものですが、支援現場で大切なことは、日常の生活の中に変化を見出すことだと思います。周りの環境のちょっとした変化、職員の何気ない対応にも利用する方々の行動は変わるものです。現場を離れているためかもしれませんが、利用する方々の表情や行動は日々変化しているように感じられます。福祉職場の人材不足が叫ばれていますが、ルーティーンワークを重視するあまり、そうした変化を感じる醍醐味を忘れてしまったためではないでしょうか。

上半期の報告書を見ながら、そんな事柄を上手く伝えられなかった自分自身を反省しています。

「小善は大悪に似たり」

怒ることだけではなく、若い職員の将来を見据えて働きかけていくことが私自身の大きな課題です。

本屋で考えたこと

今年から母校の同窓会山形支部の役員に加えていただくことになり、先日1回目の会合に参加させていただきました。70代から30代まで幅広い年齢構成で、職業も、社会福祉協議会で働く方もいらっしゃれば、病院のケースワーカーや養護学校の教員、家庭裁判所の調査官をされていた方など、様々で、「福祉」の多様性、幅広さを改めて感じました。そういえば、とある大学の試験を受けた時、環境権に関する論文が出て、論文が英文だったことと「なぜ福祉に環境権が関係あるんだ」と疑問符で全く答えられなかったことがありました。福祉の奥深さです。

さて、その会合の前に時間があったので、七日町にある大きな本屋さんをのぞいたのですが、「福祉コーナーに、福祉の本がない……」、置いてあるのは、「介護ビジネス」と資格取得のためのテキストだけです。ここの本屋さんに来れば、福祉関係の書籍があると思っていただけに、ショックでした。福祉が、「介護ビジネス」と資格を取ることだけの仕事になったら、働きたいなんて思う人間なんていませんよね。

今年の大河ドラマは「軍師官兵衛」ですが、最近の福祉の動向を見ていると罠にはめられているような感じです。「福祉は、経営の時代」と言われ、一生懸命経営しようと努力すると「社会福祉法人も課税」だとか(貯めすぎはいけませんけど)、最近は、「介護保険優先」と言って65歳以上になると、障がいをお持ちの方々も介護保険のサービスに切り替えようという動きも強く見受けられているようです。障がい福祉と介護保険を統合できなかった腹いせに「応能負担」の対象を少なくして、できるだけ「応益負担」の人を多くしようとしているのでしょうか。

先日の朝日新聞にイチロー選手のこんな言葉が載っていました。「結果も大事だけど、プロセスも大事。プロセスは、人間を成長させる」福祉も同じだと思います。「結果も大事だけども、利用する方々をどのように理解し、支援しようとしたか、そのプロセスが大事です。そしてそのプロセスが支援者を成長させます。その成長が支援者の自己実現ではないでしょうか。」
わたしたちは、その自己実現のために福祉を学び、この世界に入ってきました。若い人たちにも「ビジネス」ではなく、そんな「プロセス」を大切にして働き続けられる職場にしたいものです。

家族会研修視察に同行させていただいて

先日、家族会研修視察に同行させていただき宮城県名取市にある「ROKUFARM ATALATA(ロクファーム アタラタ)」と白石市にある「白石陽光園」にお邪魔してきました。

「ROKUFARM ATALATA(ロクファーム アタラタ)」は、「サポート」でも取り上げられておりましたので、ご存じの方も沢山いらっしゃるのではないかと思いますが、宮城、山形で様々な事業を展開する企業家6人が作った六次産業化モデルファームで、農場やレストランブッフェ、蕎麦レストラン、パン工房を運営し、その中で被災した方々や障がいを持つ方々の雇用を行っております。
当日は、レストランブッフェで代表理事である渡部哲也氏にATALATAに込めた思いや障がいを持つ方々の雇用について、お話をいただいた後、みんなでおいしい食事をいただきました。午後からは、白石陽光園にお邪魔し、事務局長の太田清記氏に法人の概要等をお話ししていただいた後、高齢者と障害者が共に生活する「共生型グループホーム」を見学させていただきました。

2つの事業所に共通するキーワードは、「共生、コラボレーション」です。
当法人でも現在、14の事業を22カ所で行っていますが、既存の制度や事業では、一人ひとりの課題に対応していけないと感じることがあります。
また、社会福祉法人のあり方や障がい福祉の制度、報酬改定等が議論されておりますが、制度がいかに変わろうとも、変わらぬ支援を提供する力を事業所・法人として持っていなければならないのではないかと感じることがあります。そのキーワードが「共生、コラボレーション」でしょうか。
企業、老人福祉、医療、地域住民……、様々な方々と共生して、既存の制度では対応できない課題に対応していきたいものです。

渡部様、太田様ありがとうございました。