blog庄司園長の部屋

年末年始のお休みについて

早いもので今年も数えるのみとなりました。

愛泉会の日中系サービスについては、
12月27日~1月4日までお休みとさせていただきます。
(北部支援センター、ぷるぷる、月のひかりは、12月28日~1月4日まで)

向陽園には、常時職員がおりますので、何かありましたら、向陽園の方にお問い合わせください。
℡ 023-688-5883

良い年をお迎えください。

自己理解と他者理解

年を取ったせいでしょうか、最近は、高校生の頃に聞いていたニューミュージックのCDを購入しては、昔を懐かしんだりしています。少し前は、アリスを、そして最近は、出退勤時にさだまさしのCDを聞いています。ある裁判で、罪を犯したことを反省しない被告に対し、裁判官が、さだまさしの「償い」を聞いてみろと言い、判決を言い渡したのは有名な話ですが、道を見失いかけている若い職員、自信を失いかけている若い職員に私が勧めるとしたら、さだまさしの「風に立つライオン」です(何のこっちゃ)。

さて、先日行われた県協会主催の施設長研修会に北摂杉の子会の松上先生が講師としておいでになり、講演の中で、福祉の仕事を担う職員に大切なのは、「自己理解と他者理解」とおっしゃっていました。「他者理解」については、当然ですが、この仕事は、人間を相手にする仕事であり、福祉は、社会や人との関係の中で「生きづらさ」を抱え困っている方々です。昔々の話になりますが、「友愛訪問」というものがありました。金持ちの奥様達が、貧困で困っている家庭を一軒一軒回り、「貧乏なのは、あなたが怠惰で、働かないから悪いんだ。働きなさい。」と言って歩いたそうです。果たして、貧困は個人の資質に問題があるからなのだろうか……。そこから理論化、体系化されていったのが、「ソーシャルケースワーク」です。社会と個人との関係を見て、考察していく(診断)……、貧困は、決して個人に問題があるからではありません。同じように、私たちが日々接している知的障がい、自閉症と言われる方々も、上手く言葉で我々に伝えることができないために、時に行動で何かを訴えることがあります。その行動の意味を知るためには、知的障がいのこと、自閉症のことを理解しなければなりません。この世界でお金をもらって生きていくならば、その対象とする方々を理解していくのは、当然ですよね。

そして、「自己理解」です。我々は、機械や物を使って仕事をしているわけではなく、自分自身を使って仕事をしています。なので自分自身がどのような人間なのか理解しておくことが必要です。福祉の世界では、「自己覚知」などという用語を使いますが、尾崎新先生は、「自己活用」という考え方を使っています。「専門家としての自分や自分の個性を援助関係のなかで生かすために、援助者は自分を多面的に理解する必要がある」のだと……。「自己覚知」というと求道者的なイメージですが、「自分を生かすために理解する」と言われると、入りやすいですよね。私自身、様々な方々と接していて、マイナスの感情が無意識に引き出されることがあります。支援の中で、好き嫌いで対応を変えたり、無意識の内にマイナスな感情が引き出されるのは、専門家としてやってはいけないことですが、だから押さえろと言われても、大変ですよね。この仕事は、「感情労働」と言われていますが、自分で抑圧した感情は、どこかで吐き出さなければなりません。カウンセリングや上司や仲間の活用が必要になるでしょうか。チームワークの良い事業所は、やはり良い支援をしています。

もうすぐ新しい年を迎えますが、新しい年の目標を決める際の枠組みとして、「他者理解」と「自己理解」、2つの枠組みで考えて見てはいかがでしょうか。

今回は、若い職員へのメッセージとして書いてみました。昔々のことになりますが、海外青年協力隊への想いを母親に話した時、日本の中にも生き辛さを抱え、困っている人たちはいるんだと言われたことがありました。3K職場と言われ、大変な仕事かも知れませんが、福祉の専門家を目指し、「風に立つライオン」のように凛としていましょう。自分自身に向けたメッセージかもしれませんが……。

愛泉会の職員は何故自由な服装で仕事をするの……?にお応えして

山形市内は、朝から雪が降りやまず、管理員さんは、早朝から休む間もなく除雪車の運転です。幸いどこの事業所からも雪による被害の情報は入っていませんが、どこの事業所も、早朝から除雪で大忙しではないかと思います。大雪になると、除雪等で営業開始時間が遅くなるものですが、愛泉会の職員は、利用する方々の生活リズムを崩さないようにと、大雪の日は、朝早くから出勤し、いつもの送迎時間に車が出発できるようにと準備をしてくれています。こちらから命令するわけではなく、事業所で話し合い実施してくれるようです。本当に頭が下がります。

さて、かれこれ17、8年ほど前になるでしょうか、権利擁護、倫理綱領等の作成のため、北海道の「剣淵北の杜社」さんに1週間ほど研修に行かせてもらった時も今日のような大雪でした。当時、施設で働く職員の格好と言えば、ジャージにトレーナー姿が一般的で、向陽園もお揃いのジャージではありませんでしたが、職員は皆、ジャージ姿で働いていました。たまにジーパンやスラックスで出勤すると、「今日はお出かけ?」と利用者さんから質問を受けるような感じでした。剣淵北の杜社さんにも一応は、スラックスでお邪魔したのですが、あいさつが終わっても、一向に着替えをしろと促されることはなく、一日スラックス姿で現場で働きました。周りで働く職員の方々は、それぞれジーパンやスラックスで、ジャージ姿の職員は一人もいませんでした。

剣淵北の杜社さんは、当時としては、飛び抜けて進んでいた施設で(向陽園が遅れていただけでしょうか)、夜間、利用者さんが飲酒することが自由でデイルームでお酒を飲んでいる方もいました。たまたま、管理職の人が居合わせて、酒でも飲むかということでお酒をいただいたのですが、その時、職員の服装のことを尋ねると、「職員自身が自分の個性や好みを大切にしなければ、利用する方々一人ひとりの個性や好みを大切にすることはできない。また、利用する方々にとっては、職員も一つの環境だ。赤い服の職員がいたり、青い服の職員がいたり様々いる。そして次の日は、また違った色の服装で出勤する、その方が変化があり良いのではないか。施設だからジャージではなく、市井で暮らす人間と同じ服装でいた方がよりノーマルではないか。だから職員には、思い思いの服を着てもらっている。」とのお話でした。

そのお話に共感し(何を学びに行ったか分かりませんが)、向陽園に帰るや否やジャージで働くことを止め、気に入った服装で毎日出勤するようにしましたが、当初は皆、猛反対でしたが、村井センター長をはじめ考えに共鳴してくれる人も出始め、徐々に愛泉会で働く職員の姿も変化し、現在は、大半の職員がジーパン姿で働いています。

先日、愛泉会の事業を利用する方々、ご家族にサービス内容等について、アンケートをお願いしたところ、服装や容姿に関するご意見をいくつかいただきました。以前も「老人施設では、同じユニフォームで働いているところが多い。向陽園もそうしたらどうか」というご意見をいただいたことがありましたが、このような意図で職員の服装を自由にしているところです。社会人として度を越したもの、周りにいる方々に不快感を与えるような格好については、言語道断ですが……。

現在、皆さんからいただいたご意見を元に、それぞれの事業所でサービス、環境改善に向けた、改善案を検討しているところです。来年、法人設立から30年目を迎えますが、いくら年月を重ねても、時代やニーズ、皆さんの声に応じて、「変わる力」を持ち続ける愛泉会でいたいものです。

世話人さんの言葉から

あっという間に12月。この1年の仕事を振り返り、自分が思い描いたように仕事が進められたかどうか、職員一人ひとりにレポートを書いていただき、先週末から読まさせていただいております。今年は、世話人さんや就労継続支援A型事業所で働く方々からも、「自分自身が仕事をする上で大切にしていること」のテーマで書いていただきました。どれもこれもが、仕事に対し真摯に取り組まれている内容、そして心が温まるものでしたが、その中からいくつか紹介させていただきます。

世話人さんの言葉から、
「入居者の方々に元気に声掛けすること『おはよう』『いってらっしゃい』『おかえりなさい』」
「事業所より持ち帰った作品などを受け取る時は、『上手にできたね』『どこに飾る?』と誉めること」
「皆が話を聞いてほしいと思っているので、公平に会話するように努力すること」
「何かあった時は必ず、支援員、そして同僚に報告、連絡、相談すること」
「おかず、味噌汁……、口に入れた時に『おいしい』と思える味付けを心がけています」
「ホームで皆が寛ぐ『ティータイム』を大切にしています。今日の昼間にあったこと、ヘルパーと出かけたこと、TVで見たこと、果ては懐メロまで……、様々な話が出てきますが、皆さんと信頼関係を作ったり、一人ひとりのことを知るためには、大切なことです。時々、解らない内容の時もありますが、否定しないように注意して聞いています。ティータイムの時間にこの仕事をする上で大切なことが凝縮されているように思います。」
そしてこんな言葉もありました。
「この職場で働くまでは、本当に遠い存在の場所でした。縁あって働かせていただいてからは、それまでの生活は、狭い一角の中で生活していたのではないかと感じています。この数年で自分も成長できたことを感謝しています。」

そして最後に、生活介護をお手伝いいただいている大先輩の言葉です。
「この仕事にプライドを持つこと」

一つひとつの言葉の中に、愛泉会で大切にしている基本理念が詰まっています。
皆さんのそうした思いに支えられて、今年も無事に終えることができます。ありがとうございました。