blog庄司園長の部屋

世の中はゴールデンウィークですが……

26、27日の両日、上山市内で新たに立ち上げる「グループホームみるく、くれよん」の内覧会がありました。26日は、会議のため出席できず、27日に出席させていただきましたが、少し早めに家を出たため、上山駅前で時間をつぶしていると、見たことのある後姿……。車を止めて振り返ると、当法人の相談支援の職員が活動をサポートしている「各駅停車の会」の方々でした。上山城に花見に行くということで、当事者の方もそしてサポートする職員も皆笑顔。内覧会もそうですが、休日もいとわず、自主的に働いてくれる職員には頭が下がります。

さて、福祉施設の人材不足が叫ばれていますが、特に泊りや休日勤務がある事業所は毛嫌いされる傾向にあるのだそうです。「知的障がい福祉の父」と言われる糸賀一雄先生は、近江学園で「ともに働こうとしてやって来る若い職員に対しては、その一人一人に面接をし、『この学園は社会事業的な性格を持った教育機関であるから、第一に四六時中心の休まる暇(ひま)もない非常に困難な教育実践である(四六時中勤務)、第二に経済的には何ら報われることのない、むしろマイナスになるかもしれないというような構想をもっている(耐久生活)、第三にそういう悪条件のなかで研究は猛烈に進めなければならない(不断の研究)」ことを伝え、それを理解する人を採用したそうです。糸賀先生が実践された当時と比べれば、労働環境も整備されましたから、「四六時中勤務、耐久生活」などというレベルには、ありませんが人間の生活を支える仕事なので、365日、24時間体制での仕事に変わりはありません。

しかし、365日、24時間誰かがいればいいかと言えばそれは違います。昼になったら、食事の介助をし、入浴時間になったらお風呂に入るお手伝いを、夜になったら寝る準備を……、介護も大切ですが、それだけではありません。施設で暮らす方々は、自分の思いや願いを言葉で伝えるのが苦手な方が多くいますが、一緒にいると「こんなことを言いたいのかな」、「この行動は、こんなことを訴えるためだったのかな」と気付くことがあります。「それじゃ、試に〇〇してみるか」と試してみて……、利用する方々の笑顔が見られた時の喜びは何事にも代えがたいものがあります。また、今は、施設で生活していますが、将来は、地域の中に出て暮らしていく方々です。施設で暮らす24時間は、地域で暮らすための土台作りです。1日でも早く、地域に移行し暮らせることを願って私たちは、日々の支援を行っています。そして、グループホームで働く職員はといえば、入居する方々が地域の中の一員として誇りを持ち暮らしていけることを願い支援を行っています。

できれば楽に暮らしたい、仕事などせずに暮らしたいという怠け者の私ですが、神様は「自己実現」という宝物をくれました。「一人でも多くの方が地域で生活してもらいたい」、「障がいを持つ方々の働く場を作りたい」、「障がいを持つ子供を家庭で支えるご家族の負担を少しでも軽減させたい」、「働くだけではなく、楽しい休日の過ごし方を知ってもらいたい」……、一人ひとり異なりますが、愛泉会で働く職員は、利用する方々との関わりを通し、自己実現するために昼夜、休日をいとわず働いてくれているのではないかと思います。世の中はゴールデンウィークに入りますが、明日を信じて頑張りましょう。そして、よろしくお願いします。

 

より良い支援者を目指して

新年度体制になり3週間が経過しました。職員の入れ替わりもあり、この3週間は、異動してきた職員と新採職員の練習期間としてベテラン職員と一緒に夜勤等に入ってもらいましたが、今週からはいよいよ独り立ちです。経験年数が高い職員に練習がいるのかと疑問に思うこともあるのですが、向陽園の場合は、地域移行等もあり利用する方々の変動が激しいため、経験年数が高い職員でも1,2度は慣れた職員に付いてレクチャーを受けないと変則勤務に入れないのだそうです。マニュアル等の整備にも課題があるのでしょうが……。

さて、今年度は、11名が新たにスタッフとして加わりました。その内8名が大学、短大を卒業したての「新卒職員」です。最近は、どの会合に参加しても、福祉職場の人材不足、人手不足が話題になりますが、3K職場、5K職場として敬遠される中、愛泉会を志望してくれた若い職員には、立派なソーシャルワーカーになってもらいたいと願うばかり……、いや、立派なソーシャルワーカーに育てなければならないと自分の職の重さを改めて感じるところです。

そんなわけで、先日よりバイステックの「ケースワークの原則」の読み直しを行っています。「ケースワークの原則」については、大学時代に購入していましたが、尾崎新先生が翻訳し直したものが出ているということで、新たに購入し、読んでいますが、なかなか手強い……。

バイステック先生がこの本を書き始めたそもそもの動機が、援助を進める上で大切だと言われながらも、十分に説明されていないクライエントと援助者との間の『援助関係』を理論化すること。裏を返せば、利用する方と支援をする側の関係は、そんなに簡単に築けるものではないよ、関係を築くためには、大切な原則があって、それを学ばなければ、『援助関係』なんて築けないし、良い支援なんて行えませんよ、ということではないでしょうか。

利用者と支援者の関係は、対等だと言いますが、対等な人間関係を経験してきた人間なんてそんなに多くはいないでしょう。人と人との関係と言われ思い浮かぶのは、「教師と生徒との関係」だったり、「親と子の関係」だったりです。どちらも上下の関係で、対等だと言いながらも、支援現場では、無意識のうちに、「教師役」、「親役」で指導を行ってしまいます。「ケースワークの原則」は、そうしたことを意識して支援を行いなさいと教えてくれます。

それでは、お前は対等な関係が築けているのかと言われると、言葉がありませんが、日々、上になったり、下になったりしながらも、なんとか対等になるようにしようと努力はします。それが「日々の振り返り」でしょうか。

今日は、天気が良く、園デイの方々と馬見ヶ崎河畔で花見をしてきました。土手の上では、別の団体の職員が、大きな声で、「自分で弁当を取りに来れる人は取りに来てください」、「自分でできることは、自分でするようにしてください」と呼びかけていました。遠足や旅行では、先生からそんな声掛けしか受けてこなかったのでしょうね。

 

 

 

 

 

NPO法人結さん「ぽこ・あ・ぽこ」オープンおめでとうございます

私は、当法人のスタッフから、「冠婚葬祭に行ってはいけない職員No1」と言われています。冠婚葬祭には、言ってはいけない言葉、禁句がありますが、極度のあがり症で、人前に立つと頭が真っ白になり、言ってはいけない言葉を言ってしまったりするからです。学生時代の友人の結婚式に招待していただき、お祝いのスピーチを頼まれた時も、お嫁さんの名前を間違い、大ひんしゅくを買いました。その結婚式で、お嫁さんの親族から無視されたのは言うまでもありません。お嫁さん側の親族からのお礼の言葉やお酌はありませんでした……。

さて、先日、NPO法人結さんが開設された放課後等デイサービス・自立訓練(生活訓練)事業の事業所「ぽこ・あ・ぽこ」の開所式があり、当法人の常務理事の代理として出席させていただきました。常務理事の部屋「行雲流水」でも新聞記事「こぼれた砂」のことが何度か紹介されていましたが、結さんも「ぽこ・あ・ぽこ」を開設するまでには、大変苦労をされたようです。当初開設を予定していた場所では近隣住民からの反対運動を受け、そしてそれに代わる候補地を見つけたと思ったら「市街化調整区域の問題」……。昨年初めには、当法人がグループホームの開設を計画していた敷地の中に事業所を建設するということで、設計図面まで完成したのに、計画の思わぬ頓挫。はたで見ていて、「開設は無理だろう」と感じられる場面が幾度かありましたが、強い信念と情熱で、開設の日を迎えられました。笹原理事長様はじめ役職員の方々には、本当に「スタンディングオベーション」です。場所は、上山市弁天2丁目。建物は、2階建てで、1階が自立訓練、2階が上山市内では初の放課後等デイサービスです。

笹原理事長様をはじめとする役員の方々が「ぽこ・あ・ぽこ」の開設に情熱を傾けてきた原動力は、ご自身が障がいを持つ子供の親として感じた、「事業所、サービスの使い勝手の悪さ」と「誰が主体かわからない事業所運営への疑問」、誰かがこの現状を打破しなければならないという使命感、のようです。同じ圏域内で事業を行うものとしては、耳が痛いことですが、現状に甘んじることなく、改善していくのが事業所の役割、我々もまた皆さんの意見をお伺いして、「一歩一歩」改善していきたいと思います。

最後になりますが、当日は、当然のようにお祝いの言葉を噛んでしまいましたが、途中で利用者の方の合いの手をいただき何とかスピーチを終えることができました。