blog庄司園長の部屋

目指すは、ミニ施設?脱施設?

夏の日差しも和らぎ、少しづつ秋が近づいて来ているようです。「あんなに暑かった夏はどこに行った?」と思えるような昨日今日です。

さて、今年の夏は、法人として2つの調査にご協力させていただきました。1つは、東北福祉大学都築教授の研究室の学生さんをお迎えしての「天童市における障がい者の望ましい地域生活の在り方に関する調査」です。8月19日~21日までの3日間、デイサポート天花の2階を主会場にして、天童市内にお住いの障がいを持つご本人、ご家族、そして周りでサポートする社会福祉協議会、民生委員、学校の先生など30名近い方々に協力していただき、地域の中で生活していくためには、どのような手立てが必要か、ご意見をお伺いしました。調査結果につきましては、天童市、そしてご協力いただいた皆さんに報告させていただきます。そしてもう1つが青山学院女子短期大学の杉田穏子教授による「障がい受容についての面接調査」です。8月17日~22日までの6日間、当法人のグループホームや就労支援事業をご利用の方々、そしてご家族にご協力いただき、インタビュー調査を行いました。

さて、さて両調査とも、私は面接・調査場面には、入らせていただきませんでしたので、調査の詳細については、ここまで……。しかし、先生、学生さんとの懇親会にはしっかり参加させていただきました。そして、その時にお聞きしたのが、ご本人はもちろん、多くのご家族が地域での生活を望まれているということ。そのための社会資源が不足しているのはもちろんですが、向陽園をはじめ入所施設の体制に心細さを感じていること。

ベンクト・ニィリエ著「ノーマライゼーションの原理~普遍化と社会変革を求めて~」を河東田博先生と共に訳された杉田先生からは、欧米での施設解体、そしてその後のホームの姿、日本各地の施設の状況、施設の限界などをお酒を酌み交わしながら教えていただきました。

ここしばらく向陽園をどのようにしていくか悩んでいましたが、皆さんのお話を聞き、悩みが吹き飛びました。施設は所詮施設です。感覚過敏で生きづらさを抱える方々が生活するのには、最も相応しくない場所です。そして、職員にとってもその生きづらさの手掛かりを探りにくい場所です。
「脱施設」。「施設の生活で落ち着いたら地域で生活」ではなく、「落ち着いた地域の生活の中で、生きづらさの解消」。

2つの調査にご協力していただいた皆さん、ありがとうございました。そして都築研究室の皆さん、杉田先生、ご苦労様でした。