blog庄司園長の部屋

居住支援の在り方

今日は、午後より当法人の施設入所支援、ケアホーム等の居住系サービス事業所のサービス管理責任者の会議を行う予定です。自立支援法が施行され障がい福祉サービスは、日中系サービス(昼)と居住系サービス(夜)に分けられましたが、居住系サービスだけでは勤務が組めず、日中系サービスから手伝ってもらってやりくりしている状況です。今日は、次年度からの勤務体制とフォロー体制を最終確認するための会議です。

さて、居住支援の在り方については、昨年より様々な形で提案がなされています。障がい者総合支援法が成立した時に、「地域における居住支援の在り方について考えるように」との附帯決議がなされたということを受けてのことのようですが、要は「障がい者総合支援法を成立させる代わりに、『障がいを持つ方々の高齢化・重度化、そして「親亡き後」どこで生活するのかが課題として残っている。障がいを持つ方々が高齢になり、また障がいが重くなっても地域の中で生活を維持していけるように、そして家庭で暮らす人たちについては、親が亡くなっても地域の中で暮らしていけるようにグループホームの機能を考えろ、そして小さな施設についても考えろ」という交換条件が付いたので、議論を始めたということのようです(間違っていたらごめんなさい)。

厚労省から現在出されている案は、グループホームを中心にしたものと、施設を中心にしたものとに分けられるようですが、グループホームを中心にしたものについては、本来グループホームについては、定員10人までとするが、在宅で暮らす方々の相談のためのコーディネーターを配置し、かつショートステイやグループホームへの入居のための訓練をする部屋を設けた場合は、地域生活を支えるための拠点として定員を20人まで認めるという案と、障がい者支援施設については、新たに30名定員の小規模のものを作っていくという2通りの案のようです(ホームについては、面的整備もあるので3通りかな)。

障がい者自立支援法の功罪については、意見が分かれるところですが、サービスが、居住系サービス(夜)と日中系サービス(昼)が分けられ、利用する方々が、日中活動する場を選べるようになったことは、ノーマライゼーションの理念からも評価されることです。現在、向陽園には50名の方々が生活されていますが、日中の生活介護事業所の平均利用者数は、31.8人です。在宅から通われてくる方が、10名ほどいらっしゃいますので、昼も夜も向陽園を利用されている方は、20名で、後の30名は、施設を出て活動していることになります。スタッフも基準以上に配置する必要がありますが、利用する方々にとっては、日が昇ったら外に出かけ、日が沈むころに帰ってくるという生活が良いのではないでしょうか。様々出される新たな案には、日中の活動の場所については、明確に出されていません。報酬改定が行われる平成27年までには、明確にしたいと考えているようですが、居住支援の在り方を検討する前提として、「職住分離」を原則にしてもらいたいものです。

※多機能拠点のホームの例として、当法人で運営している「つばさ」「あすなろ」の写真を掲載しようとしましたが、上手く載せられませんでした。「事業所案内」をご覧ください。

 

 

障がい支援区分について

様々な会合でお話しさせていただくことが多くなりましたが、私の話は、事業者目線での話になってしまうことが多いようです。ブログについても、注意はしているつもりですが……、と悩んでいたら手をつなぐ育成会さんのブログに障がい支援区分についての質問がありましたので、私の知る限りで障がい支援区分について書かせていただきます。

サービスを利用する際の区分判定については、平成15年に施行された「支援費制度」の時もありました。当時は、A、B、Cの3区分で、25項目程度の内容を市町村職員が聞き取りをし、判定をするといったもので、聞き取りを受けていても、市町村、また職員によってバラつきがあるなと感じられるものでした。

平成18年に障がい者自立支援法が施行され、「サービス利用を公平にするため、『手続きや基準の透明化・明確化』を図る」という目的で、「障がい程度区分判定」が行われるようになりましたが、介護保険の介護認定に使う判定ソフトを基に作られたため、「介護に偏重している」、「知的障がい、精神障がいの特性が反映されていない」との批判がありました。区分は、1~6までの6段階(6が最も障がいが重い区分)で、市町村の職員が100数項目について聞き取り調査を行い、判定ソフトに入力、その結果を市町村で行う、判定審査会にかけ、区分を決定するという流れになるのですが、判定ソフトが、食事や排せつ、入浴、着衣などの介護面に重きが置かれており、「こだわりが強い」、「動きが激しい」などの行動面については、ほとんど加味されないため、自閉症の方々などは、比較的軽く判定されてしまっていました。コンピューターで出された結果と医師意見書等を基に審査会で区分を決定するのですが、審査会で42%程度は区分を引き上げられていたようです。4月から「障がい支援区分」になるのですが、知的障がいや精神障がいの特性が反映されるようにするということで、審査会で区分が上がった42%程度は、コンピューターで上がるように作り変えられたようです。

現在、「障がい程度区分」を受けられている方は、次回の区分判定までは、現在の区分で良いとのことですので、そのままで良いようです。区分判定については、在宅の方は、1~2年ごと、施設入所の方は、おおよそ3年ごとに行われるようです。

障がい福祉サービスは、「訓練等給付(就労B、就労移行支援等)」と「介護給付(生活介護等)」のサービスに分けられますが、「訓練等給付」のサービスは、区分に関係なく一律に使えるので良いのですが、「介護給付」のサービスについては、区分により使えるか、使えないか決まりますので、「障がい支援区分」を受ける必要があります。「短期入所」や「居宅介護」を受けるために、区分判定を受ける人が多いように思いますが……。

審査会により区分が決定されますが、市町村により審査会の開催もまちまちです。小さな町や村になると数か月に1回というところもあるようです。ご家族の都合により、急に「短期入所」や「施設入所」が使いたいけども、区分が決まらないというケースもあるようです(区分が決まるまでは、実費負担。区分が決まってから戻ってくるのでしたっけか……すいません不確かです)。あまり勝手なことを言うと怒られそうですが、早めに判定を受けられていた方が良いように思われます。

介護保険のように、区分より支給量が決められるわけではありません。支給量の決定は、市町村で行います。区分が重いからいっぱい使えるわけではありません。ご家庭の状況により、市町村が決定するようです。計画相談との兼ね合いも大切になってくると思いますので、今後は、相談事業者との連携がより大切になってくるのではないでしょうか。

日中事業所を利用している場合、利用する事業所での調査が多いようです。調査員は、ご本人の生活状況を観察して調査を行うわけではなく、ご本人やご家族への聞き取りです。答える側は、正確な情報を伝える必要があります。質問に「できる」と答え、区分が軽くなるケースも多くあります。生活介護などは、利用する方々の区分により職員の配置数が変わります。適切な支援を受ける意味でも、区分がその方々の実情に合ったものである必要があると思います。

勝手なことを書いてしまいましたが……。1か月に1度程度は、利用する方々やご家族のご質問にお答えしていければよいなと思います。よろしくお願いします。

旅立ちの日に

卒業式シーズン真っ只中、今日もこれから地元の小学校にお祝いに行かせていただきます。ここ数年、井上常務の代理として、日ごろお世話になっている学校の卒業式に参列させていただいていますが、その度に、家族からは、白い目で見られています。何故かと言えば、わが子の卒業式にはほとんど行っていないからであります。息子の卒業式は、中学の時に一度、娘に至っては、「一生来ないつもりか」と言われ、高校の卒業式に行っただけで、入学式には、一度も行ったことがありません。「わが子の卒業式に行かないで、他人の子の卒業式に行くのか」と言われるので、今日は何も言わずに家を出てきました。

さて、グループホームが制度化される以前、施設から入所される方々が巣立って行くことを「社会復帰」と呼んでいた時代の話になりますが、当時の「愛護」誌(現サポート)に群馬県の薫英荘荘長野口正信先生が、「施設利用者の旅立ち」について寄稿されていました。「我が子が家を巣立って行く時には、白いギターやラジカセなど様々な物を持っていく。それなのに施設から出ていく利用者は、風呂敷包み一つだけだ。それではあまりにも寂しい過ぎる……」という出だしで、施設から出て暮らすための生活の場として、制度外で地域ホームなどを作られていること、そして、ただ単に施設を出て暮らすだけではなく、より豊かな暮らしを築くため、施設や生活寮で暮らす方々でブラスバンドを行っているというような取り組みが紹介されていました。そんなすばらしい施設を見てみたい、そして野口先生のお話をお伺いしたいと思いから、昭和63年に向陽園の職員6名で薫英荘にお邪魔し、平成元年には、野口先生に山形においでいただき、職員研修会を開催しました。講演は、「社会復帰と社会参加について~グループホームを中心に~」というテーマでお願いしたのですが、講演の前の打ち合わせで、「山形では、まだ社会復帰という言葉を使うのか」というご指摘がありました。県内でも授産施設を中心に、就職が決まり施設を出ていくという方はいらっしゃったようですが、当時はまだ、「依存的自立」という考えがなかっただけに、研修担当者と2人で、目を白黒させていました。先生は、薫英荘をはじめ様々な資源を整備するのに、大変ご苦労されたようで、当日は、奥様を労いたいとのことで、お二人での来県でしたが、懇親会の際に、それ程までに情熱を注がれるのは何故かとお聞きしたところ、著名な先生の名をあげ、「〇〇の考えは間違っている。自分はそれを実践を通し、立証していきたいんだ。」と熱く語ってくださいました。

当法人としては、12か所目のグループホームが間もなく完成します。今回は、当法人としては初めての上山市でのホームになるため、上山市周辺の方に入居していただく予定です。旅立ちの日に、私たちはどれだけの荷物を用意し、送り出せるのでしょうか。私たちの新たな課題です。

 

 

平成25年度部会協議会に参加させてもらいました

3月5日~6日に東京で行われた日本知的障がい者福祉協会の「部会協議会」に参加させていただきました。2年前までは、「支援スタッフ部会」としての参加でしたが、今回は、「地域支援部」としての参加で、4月1日からのグループホーム・ケアホームの一元化に向け、報酬等がどうなるのか気になる事業者の方もいらっしゃると思いますので、部会協議会で話題になったことを簡単に報告させていただきます。

まず気になるのが先日発表された夜間支援体制加算の動向だと思います。5日に行われた厚労省の行政説明では、「夜勤体制をとるにも、4月までの1か月間で職員を揃えることはできないとの意見があるが」、平成27年度に報酬改定があるため、「1年間は、運用を弾力的にしていく……」という解ったような、解らないような説明でした。部会に集まった様々な人から、情報を収集しましたが、多分このブログを書いている同時刻に課長会議が行われ、発表されていると思いますので、混乱を避けるため、あえてこの場で推察を述べることは控えさせていただきます。厚労省としては、夜勤については、1回14,000円、宿直については、1回5,000円と試算しているようで、夜間支援体制加算の額を今後も見直す考えはないようですが、障がいの重い方々の地域生活支援を行っていくためには、現在の報酬で、夜間支援体制加算も充当していかなければならないという意見には、27年度に報酬改定があるので、その中で基本報酬を検討していけばいいのではないかとの考えのようです。その他、夜間支援関連については、「夜勤」と「宿直」の定義がわからず、「夜も泊りで仕事をしているので、夜勤だろう」と考え、宿直体制にも関わらず、アンケートには「夜勤」と答えてしまう事業者が多く、「夜勤をしているホームが多い」との見解を厚労省は持ってしまった、との声も聞かれました。他の事業所では、夜間支援をどのようにしているのか、お聞きしようと思い様々な会合に参加させていただくのですが、事業所や地域で用語の使い方も異なるため、お聞きしても、「??」と思うことが多くあります。ホームの数も20,000軒を超える数になってきましたので、そろそろ明確にしていく必要があるのではないかと思います。

夜間支援体制の見直しにより、大きな減額になる事業所が多いのですが、「医療連携体制加算」については、新たに(Ⅴ)が新設され、本体施設の看護婦さんがホームに派遣されてきても(週36時間施設、週4時間ホームでも)、「39単位/日」がもらえるようです。当法人のホームについて、シュミレーションすると夜間支援体制加算の減額と、医療連携体制加算の増額でトントンといったところでしょうか。あまり長くなるといけませんので、今日はここまでにさせていただきます。何かご不明なことがあれば、いつでもお問い合わせください。

法律なんかには負けないぞ。