社会福祉法人 愛泉会

「愛泉会」は、「楽しく自分らしく生きる」をサポートします。

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井上 博の「行雲流水」

マネージメント力について

私の愛読書の一つはPFドラッガーの「非営利組織の経営」です。

皆さんご存じのとおり、ドラッガーといえばマネージメント、マネージメントといえばドラッガーとよばれるほどです。この本はドラッガーの80歳の時の本で、非営利組織について世界で初めての作品であり古典と呼ばれるものです。その内容の新鮮さには、今でも驚かされます。

先日の当法人の経営会議で、参加者には是非読んでいただくように勧めました。当法人だけでなく、多くの社会福祉法人やNPO法人等非営利の団体のリーダーの皆さんもお勧めしたいと思います。私自身これまでこの本を繰り返し読ませていただきました。そのたびに多くの気づきをもらい、愛泉会の経営にも参考にしてきました。

この本は非営利組織の目的は「人と社会を変えること」から始まります。

愛泉会に置き換えると障害のある利用者を市民とすること、地域社会をやさしく変えることであるということに置き換えることができます。そのためにはミッションである法人の理念や方針は行動本位であることが重要であり、理念は壁に掲げているのではなくそれを実際に行動につなげる必要があるというわけです。その後もこの本にはリーダーの責任について、マーケティングや資金源開拓について、人事や理事会のあり方、そして組織の作り方、そして自らの成長と多くの興味深い内容がつづきます。

私たちは多くが支援職や事務職として入職して利用者支援や会計にあたってきました。

もちろんそれが基本ですが、経営者や管理者には利用者ご家族が必要なサービスを創出することが求められています。そして、事業縮小や倒産が当たり前となった激しい競争の福祉業界のなか誠実に業務にあたっていただいている多くのスタッフを守っていくには、これまで以上の発想や行動力、そして工夫が求められます。

是非手に取ってご一読ください。

知的障害者福祉協会の活動を通して

先月に日本協会の会長職を次の方にバトンタッチすることが出来た。

6年の任期中半分がコロナ禍ということもあり十分な働きとはいかなかったが、これまで多くの皆様に支えていただき感謝したい。

改めて、協会活動を振り返ると始めて知的障害者福祉協会活動に興味を持ったのが30代だったので、30年間を越えてお世話になったことになる。

当時は愛護協会という名称で入所施設中心の措置という時代であった。当時入所更生施設「向陽園」で現場の課長職をしていた時であった。利用者からみるとどこに入所するかは措置なので一方的に決められる。Aが良い施設、Bがまあまあの施設、Cが芳しくない施設だとすれば利用者や家族の意思が働くことはない。Aの施設に入ればラッキーでCの施設だとアンラッキーそれでいいのだろうか。私たちがこれを少しでも良い方向に変えていくのは事業者団体である愛護協会しかないと考えた。当時の上司である小林園長に相談したところ、主旨に賛同いただき山形県入所更生部会が現場職員中心に立ち上がった。初めの発表が庄司さんの向陽園の倫理綱領と、山形育成園の児玉さんの年金管理であったと記憶している。発表が終わった後は仲間と車座になり深夜になるまでお酒を飲みながら熱い議論を行った。

その後、支援スタッフ部会が立ち上がり県の会長職、東北の会長職、そして日本協会での「さぽーと」の編集委員、副会長職と会長職とお役目をいただいた。協会活動を通して全国の多くの皆さんとの出会いは私にとってのかけがえのない財産となっている。

日本協会を創設された石井亮一先生をはじめ先達が障害のある子供たちの幸せを願い当協会が立ち上がった。これからも日本協会は時代は変わっても障害のある当事者を優先して考える集団であってほしい。これからの発展を心から願いたい。

 

 

より広くより深く T型人間の薦め

さぽーと購読の薦めに次のような文章を寄稿しましたので参考にしてください。

私たちは知的障害福祉に関わる対人援助の専門職です。私たちの関わり方や支援方法で利用者の可能性を開かれたり、一方で利用者の可能性を閉ざしてしまい、あるときは不適切な対応につながったりと大きく変わります。利用者の皆さんの幸せや人生を考えるとき私たちの責任は大変大きなものがあります。私は障害福祉の仕事に入職して50年近くになるのですが、振り返ると私自身が上司や仲間との出会いを通して多くの学びをえてきました。私たちは人との出会いに積極性が必要であると思います。

かつて新採時の施設長さんは鈴木先生という方でした。毎朝の朝会で支援に関する短いコメントをいただくのですがその一つに私たち支援者はT型を目指すべきであるとの教えでした。T型とは広さと深さの両方の視点を持つ大切さを教えていただきました。広さは現在であればソーシャルワークの視点ということになりますし、深さという点では利用者一人一人の障害特性や成育歴の理解ということでしょうか。そして特に先生が強調されたのは利用者と職員の関係性の大切さでした。利用者と職員が共鳴する関係とならないといけない。共鳴するには音が同じ波長ではじめて共鳴するように利用者に合わせることの大切さを分かりやすくご指導いただきました。その先生が強調されたのが月刊誌「愛護」現在の「さぽーと」でした。それ以来はずっと読み続けていますので、500冊を超えて読んでいることとなります。さぽーとが皆さんの支えになるように願いたいと思います。

学び続けること

またまた久しぶりの投稿となりました。今年は暑い日が続きますがいかがお過ごしですか?

この間個人的には大学病院に入院して手術を受けたり、新型コロナに感染したりと大忙しのスケジュールでした。そしてコロナの感染類型が変わったこともあり対面での会議や研修が増え出張が多くなっています。

6月と8月に社会福祉士養成所でソーシャルワーク演習を担当しました。今年から新カリキュラムとなり名称はこれまでの相談援助演習からソーシャルワーク演習に変わりました。

20名以下の小グループでの演習となりますので受講生も講師陣も負担が大きいのですが、

2日3日間の演習で受講生はすっかり打ち解け、メール交換をしたり微笑ましい光景があります。通信教育は日頃は個人での学習が中心になりますので演習は仲間を意識する良い機会となります。受講生の皆さんはとても意識が高く、職場を良くしたいと資格取得を目指す人や大学教授や弁護士さんも受講されますのでこちらも刺激を受けます。こんな人たちが有資格者としてこれからの福祉の中心として働いてくれることを願いたいと思います。学び続けることは大切です。私はもう30年以上も前に県の事業団に在職中に先輩から教えてもらいました。先輩は「井上さん自分はこれから毎年通信教育を受け勉強を続けることにする」とのことでした。それから私は先輩を見習って毎年テーマを決めて仕事をしながら学びを続けました。今では大きな自分の財産となっています。何年たっても幾つになっても学ぶことは大切であると思います。是非実行してみてください。新しい世界が広がると思います。

 

 

カナンの園年度末研修に参加して

このたび3月17日に開催された岩手にあるカナンの園の年度末研修に参加させていただき多くの気づきや学びをいただきました。

研修の前日に各事業所を見せていただきました。「小さき群れの里」という障害者支援施設は廃止となりすべての皆さんが地域でのグループホーム生活や家庭生活に移られていました。

また、労働を大切にされた実践では就労Aや就労Bに多くの障害の重い人も所属されパン作りやリサイクル活動に参加し大変な成果をあげられていました。

生活介護事業所においてもアート活動やせんべいづくりといった特色のある活動が行われていました。近年新しくされたという教育の場である三愛学舎は木のぬくもりを感じられるとても落ち着く空間でした。カナンの取り組みは全国屈指の事業所であることを再確認いたしました。

その他グループホーム建設等にあたって住民の反対がなかった話や東京都の都外施設については岩手県には一カ所もなく、それは当時の県の上層部の判断だったとのことを知り大変驚きました。

カナンの園の実践はどんなに重い障害のある利用者も例外なく地域で普通に暮らし、生産活動に参加するために支援現場では様々な工夫がありました。一方で利用者の高齢化や人材確保は共通の課題として理解できました。

カナンの園をモデルとして私たちの実践をさらに向上していきたいと強く思う研修会となりました。

ソーシャルワーク実践について

久しぶりの投稿となり失礼いたします。

コロナ禍も少しずつ沈静化の傾向にあり感染に留意しながらも積極的な活動をしたいと思っています。

平成4年度末を迎えていますが当法人では毎年実践研究発表会を開催しています。

今年度は東北福祉大学の都築光一先生を助言者に3月25日に開催を予定しています。

先日今年の発表の原稿が上がってきました。全部で19事業所での取り組みをまとめたもので、まだまだ未定稿ですので手直しが必要な発表内容もあるのですが全体に目を通して、その発表のテーマや内容の多様さに驚き大変うれしく思いました。

地域移行や個別支援計画や就労支援については今の障害福祉のメインテーマですので当然ですが中高年のひきこもりやセルフヘルプグループに関すること、介護保険と障害福祉との関係や子供、子育てに関すること、アート活動やサテライト型住居等々19本があげられてきました。

当法人では法人の目標として「ソーシャルワーク実践」をテーマにしていますが知的障害福祉事業所からスタートして様々な地域課題に対応する発表内容にこれからの多くの可能性とスタッフの頑張りを実感できたからです。

国の制度は地域で発生している孤立、孤独、高齢化、少子化等の様々な課題を地域で包括的に受け取る「まるごと」の基に特に相談機能が強調されることが多いわけです。しかし様々な課題に対応するには下支えするサービスが必要となります。

以前、国のある会議で「まるごと」が「まる投げ」にならないようにと発言して、ひんしゅくをかった覚えがありますが私の不安は消えなかったのです。

一方で利用者の地域での生活を支える事業が広がり相談機能と一体となるとき地域社会の様々な課題に対応するソーシャルワーク実践が可能性となります。

地域の福祉課題に敏感な法人でありたいと思います。

ご報告

10月に向陽園から夜間に離設していた利用者が1か月を超えてご遺体で発見される事態となりました。

あらためてご本人のご冥福をお祈りするとともにご家族の皆様にはお悔やみを申し上げます。

事案発生以来本沢地区の皆様、ご家族の皆様、行政機関の皆様、そして当法人のスタッフの皆様には懸命の捜索にあたっていただきありがとうございました。

のべ700名を超える皆様にお手伝いいただきましたこと心よりお礼申し上げます。

改めて法人全体の夜間の管理体制含め安全管理の見直しをさせていただいております。

亡くなられた方は重い障害がありましたが危険性を含め周りの状況を大変よく理解されておりました。なぜこのようなことになったのかいまだに私には納得できないでおります。

はじめてお目にかかったのは約40年前、向陽園は27年ご利用いただきました。明るい性格はご家族やスタッフに元気を与えてくれていました。

私にとってその喪失感は大きく彼に関わった多くの人々にとっても同じ思いであると思います。改めて私たちの仕事の持つ意味や重要性について考えさせられました。

今後安全管理に努めるとともに障害のある利用者の自己実現のために誠心誠意努めることをお誓いしご報告とさせていただきます。

 

コロナ禍での新年度

コロナ禍の中での新年度が始まった。

そんななかでうれしいニュースがあった。

4月から新規採用となった富塚雅さんが朝日新聞の取材を受け4月1日の

朝刊に記事が掲載された。そのなかで障害のある人たちに寄り添う

存在になることが彼女の目標であるとのこと。

私たち一人一人が支援者として自覚を新たにしたい言葉である。

一方で本日の山形新聞には最上学園での虐待事件に対する再調査の記事を

掲載いただいた。多くの虐待を受けた子供たちが入所する県立児童施設で

職員による虐待を受けるという許しがたい事件である。多くの福祉団体が

声を上げていただいている。

県には徹底した調査と再発防止策を求めたい。

私たちも決して他人事ではなく障害のある利用者の権利を擁護する

事業所であることを新年度にあたって改めて確認したい。

 

試練の時

  ここ半月の間、愛泉会では大きな二つの出来事がありました。
一つは7月14日に天童事業所で発生した新型コロナ禍、そして7月28日山形県全域を襲った集中豪雨です。幸いにも現在のところコロナウィルスの陽性者は一人のスタッフにとどまり、他のスタッフや利用者への感染拡大は防止することが出来ました。水害では河川敷に近く危険地帯となっている向陽園と2つのグループホームの利用者が一晩避難しての対応となりましたが、全員が守られ次の日には日常の生活に戻ることができました。
度重なる試練から利用者を守りぬいてくれたスタッフの皆さんの献身的な働きに感謝したい。ありがとうございます。
それぞれの試練に対して管理者を中心に、迅速にかつ的確に対応いただいた結果であると思います。県、市、関係団体にお礼とご報告にお伺いしたところ「さすが愛泉会」と対応をほめていただきました。
 法人創立30周年の記念講演をお願いした米沢興譲教会の田中信生先生はどんな試練という風が吹いてもヨットは帆の張りかたで前進していくことが出来る。帆の張りかたとは私たちの考え方であると言われます。そして乗り越えられない試練はないとも。
障がいという重荷を負いながら日々、輝いて生きる利用者をお手本に私達も目標に向かって一歩前進したいものです。

日々新たにそして日々新たに

66歳という年を過ぎても日々あまりに成熟していない自分に出会い

驚くことが多い。公私ともどもである。

不十分であるが自分を振り返る日記は30年以上にもなり、様々な書籍も

それなりに読んでいるつもりであるが心はいっこうに成熟しない。

心の中に2歳児3歳児のような自分がいる。

毎朝安岡正篤先生や坂村真民先生そして聖書を読んだり自分なりに

いわゆる精進しているつもりであるが???

迷いの時自宅の裏に小屋がありその前におかれた桶を見ていた。

数日前までは腐敗していた水がたまっていた。

閉め方が不十分なためか桶に新しい水が一滴一滴落水していた。

その水はとても澄んでおり数日前の汚れた沈殿した水ではなかった。

それを見て自分の心のありようもこれで良いように感じた。

マンネリズムに陥りなにも入らないと水は腐敗していく。

この桶の水のように新鮮さを保つには一滴一滴でも新たな水を入れること

である。

日々新た、そして日々新た不十分でも与えられた日々を新鮮で充実した

毎日を過ごしたい。