blog庄司園長の部屋

本屋で考えたこと

今年から母校の同窓会山形支部の役員に加えていただくことになり、先日1回目の会合に参加させていただきました。70代から30代まで幅広い年齢構成で、職業も、社会福祉協議会で働く方もいらっしゃれば、病院のケースワーカーや養護学校の教員、家庭裁判所の調査官をされていた方など、様々で、「福祉」の多様性、幅広さを改めて感じました。そういえば、とある大学の試験を受けた時、環境権に関する論文が出て、論文が英文だったことと「なぜ福祉に環境権が関係あるんだ」と疑問符で全く答えられなかったことがありました。福祉の奥深さです。

さて、その会合の前に時間があったので、七日町にある大きな本屋さんをのぞいたのですが、「福祉コーナーに、福祉の本がない……」、置いてあるのは、「介護ビジネス」と資格取得のためのテキストだけです。ここの本屋さんに来れば、福祉関係の書籍があると思っていただけに、ショックでした。福祉が、「介護ビジネス」と資格を取ることだけの仕事になったら、働きたいなんて思う人間なんていませんよね。

今年の大河ドラマは「軍師官兵衛」ですが、最近の福祉の動向を見ていると罠にはめられているような感じです。「福祉は、経営の時代」と言われ、一生懸命経営しようと努力すると「社会福祉法人も課税」だとか(貯めすぎはいけませんけど)、最近は、「介護保険優先」と言って65歳以上になると、障がいをお持ちの方々も介護保険のサービスに切り替えようという動きも強く見受けられているようです。障がい福祉と介護保険を統合できなかった腹いせに「応能負担」の対象を少なくして、できるだけ「応益負担」の人を多くしようとしているのでしょうか。

先日の朝日新聞にイチロー選手のこんな言葉が載っていました。「結果も大事だけど、プロセスも大事。プロセスは、人間を成長させる」福祉も同じだと思います。「結果も大事だけども、利用する方々をどのように理解し、支援しようとしたか、そのプロセスが大事です。そしてそのプロセスが支援者を成長させます。その成長が支援者の自己実現ではないでしょうか。」
わたしたちは、その自己実現のために福祉を学び、この世界に入ってきました。若い人たちにも「ビジネス」ではなく、そんな「プロセス」を大切にして働き続けられる職場にしたいものです。