blog庄司園長の部屋

「Cイズム」など入らない職場風土を作るぞ

「手をつなぐ 5月号」、「私たちは、怒らなければいけない~袖ヶ浦・養育園の虐待事件を考える~」の記事を読み、あまりの内容に衝撃を受け、2週間毎日読み返しています。と、そんなところに、今度は山口県下関の障がい者施設で虐待事件があったとのメールが入ってきました。早速、パソコンで、動画(ニュース報道)を見ましたが、言葉が出ません。言語道断です。

何故、2週間も袖ヶ浦の記事を読み返しているかといえば、記事がリアルで、決して他人事とは思えないからでしょうか。向陽園と、袖ヶ浦、舟板一枚の差しかないぞと感じられる記事です。向陽園も、言葉で自分の想いを上手く伝えられない方々、支援度の高い方々が多くなっています。深夜帯の支援はといえば、向陽園は2名で、グループホームは1名の配置です。職員の倫理観にすべてがかかっているという状態では、いつどのようになるか危ういものです(決して信じていないわけではありませんが、信じているからいいという問題でもないですね)。

袖ヶ浦の被告も、勤め始めた当初から暴力行為を行っていたわけではなかったようです。福祉施設に勤めるのですから、「人の役に立ちたい」とか、「利用する方々の幸せのためにお手伝いをしたい」とか希望や夢を持って就職したはずです。記事によれば、先輩職員、Cとの出会いが大きかったようです。「入所者がしてくるんだから、制止のため仕方がない」というCの言葉に、「暴力をしないで支援をする自分は馬鹿みたいだ」と、段々と暴力を正当化するようになり、行動障がいを持つ方々に力で支援を行う職員へと変貌していったようです。そしてこの事件では、法的責任を問われたのは被告1人のみですが、実際には、「Cイズム」という暴力による支援を肯定する職員グループが形成され、日常的に利用者に暴力が行われていたようです。

そんな職場にしたくはありませんが、そんな職場に陥るのも簡単なことです。

そうしないためには……。理念の徹底、利用者中心に物事を考える職場風土の構築……、そして支援力・技術の向上。「サポート1月号」の宮下先生の記事(「みんな幸福になりたい~本人中心の支援を構築するために~」)を真似して、朝の引き継とは別に、「夜勤状況の報告会」を毎朝行うことにしました。スーパービジョンなんて大層なことはできないかもしれませんが、現場の「今の課題」に耳を傾けることは私にもできます。始めたばかりで、夜勤者も私もたどたどしい話し合いですが、ケース検討と理念の確認、そして何よりも利用する方々の視点で物事を考える習慣がみんなの中にできれば良いなと思います。また同時に、行動障がいの研修会も体系的に行っていければと、資料を作り始めました。利用者中心の実践、専門家としての適切な支援が行える職員集団、Cイズムなど入らない職場風土を作っていきたいと思います。