blog庄司園長の部屋

平成31年度重点項目、年度方針

平成31年度がスタートしました。人材確保がここ数年の悩みの種でしたが、比較的早い時期に新卒者も内定し、今年度は、新卒者、既卒者含め10名を超える仲間を新たに迎え入れることができました。

 

年度初めですので、平成31年度の愛泉会の重点項目、年度方針をまずはお伝えいたします。重点項目、年度方針は、6点です。

1つ目は、「ソーシャルワークの実践」

法人設立から34年、当法人では、施設から地域に82名の方々に移行していただきました。私たちは、これまでの実践を通し、利用者1人ひとりが「人生の主体者」となりうる環境を準備された時に、様々な課題に立ち向かっていくためのエンパワメントが発揮されること、地域の中で、様々な人たちと交流し、触れ合うことによって人生の質が高まっていくことを学びました。今年度も、利用者1人ひとりが「人生の主体者」となれるよう、「ソーシャルワークの実践」に取り組んでいきます。

2つ目は,「サービスの質の向上」

事業の拡大とともに、利用していただく方々の福祉ニーズ、障がいも多様になってきています。また、福祉分野への多様な経営主体の参入ととともに、居住系サービスについては、「生活の質」が、日中系サービスについては、「活動の質」が大きく問われる時代となっています。職員1人ひとりの専門性を高めるとともに、活動等を工夫し、利用する方々の生活が豊かなものになるよう、良質なサービスを提供するよう努めます。

3つ目は、「財務体質の強化」

財務体質の強化がここ数年、大きな課題となっている。稼働率等の向上、経費の見直し等を行いながら、財務体質の強化に努めます。

4つ目は、「働きやすい職場づくり」

事業規模の拡大とともに、職員数も250名を超える数になりました。少子化による働き手不足が深刻になる中、年齢も、経歴も異なる多様な職員に支えられながら、24時間365日支援を提供しています。また、「ワークライフバランス」、「働き方改革」等に労働法制がシフトする中、新たな制度に合わせた職場環境づくりが求められています。コンプライアンスを遵守し、職員1人ひとりを大切にした、働きやすい職場環境づくりに努めます。

5つ目は、「人材確保と人材育成」

少子化による働き手不足が深刻になる中、人材確保が深刻になっています。利用者へのサービスが停滞しないよう、様々な手立てを講じて人材を確保するとともに、より良いサービスが提供できるよう人材育成に努めます。

6つ目は、「安心安全の確保」

利用者に安心してサービスを利用していただくとともに、職員に安全な環境で働いてもらえようリスク検討会等を開催しながら、安心安全の確保に努めます。

 

今年度も、職員一丸となり、取り組んで参りますので、よろしくお願いいたします。

向陽園開設から32年、長年の夢、目標が達成されました

山形市片谷地、中山町長崎での開設を目指し、工事を進めていたグループホームも完成し、入居を予定していた方々も、意思確認のための体験宿泊から入居へと順次切り替わっているようです。向陽園で生活していた時には、グループホームへの移行になかなか首を縦に振ってもらえなかったAさんも、ホームでの生活にすっかり馴染み、向陽園に戻るか聞いても、ニコニコ笑いながら「嫌だ」と首を横に振って完全拒絶です。なかなか意思確認ができない方々もいらっしゃいますが、施設とホーム側で入居予定者1人ひとりに合わせた形で、意思形成のための工夫をしてくれたようです。

今回のホーム開設により、昭和61年に向陽園が開設されたから施設で生活されていた方たちは、これで0となりました。施設開設から32年、地域移行の速度が速かったのか、遅かったのか、判断は皆さんに委ねるとして、向陽園の誕生とともに歩んできた職員として、これまでの地域移行の取り組みを総括してみたいと思います。

昭和61年4月に向陽園が開設され、4月、5月、6月と3回に分け、男性25名、女性25名合わせて50名の方々が向陽園に入所されました。働く場所が見つかり、当時の言葉で「社会復帰」された方もいらっしゃいましたが、昭和61年6月までに入居された50名の利用者の内、33名の利用者が地域生活に移られた。比率にすれば66%の方が地域に移行したことになります。

地域での生活を目指し支援すること、地域での生活を支えることが私たちの専門性であるとすれば、地域での生活に移れなかった利用者がいたことも、反省しなければなりません。自宅に近い場所に施設ができたことや、高齢になったために、7名の方が、他施設・介護施設等に移られました。そして、残念ながら地域生活に移行できないまま、10名の方がご逝去されました。片谷地のホームの完成を目前に、昨年亡くなられた方が1名いらっしゃいますが、その他の方は、「重い障害があっても生活できるホーム」として建設しされた「あすなろ」「つばさ」が完成する前、平成24年以前に亡くなられました。「重い障害があっても地域で」とシュミレーションを開始したのが、平成20年。平成21年には、用地も見つかり、2棟のホームの青写真ができていましたが、契約間近で、地域住民の反対等により、計画がとん挫ししてしまうということもありましたが、もう少し早く取り組むことができていれば、向陽園で見せてくれた笑顔よりも、もっともっとすばらしい笑顔をみることができたのではないと思います。

働き手不足等の課題はありますが、一つひとつクリアしながら、向陽園で生活する全ての利用者が地域に移り、生活できるよう取り組んでいきたいと思います。

昭和61年スタート時の利用者の平均年齢は、34歳。開設から32年、現在、向陽園で生活する利用者の平均年齢は、37歳、施設入所者の高齢化が課題になっていますが、これは少し、自慢しても良い数字かもしれません。

 

津久井やまゆり園事件から1年

神奈川県の津久井やまゆり園事件から1年が経ちました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、事件に合われた方々の心と体の傷、そして深い悲しみが一日も早く癒されますことをお祈りいたします。

 

この1年、愛泉会では、地域の方々と施設・ホームで暮らす方々との間に垣根を作らないように、過度な対応にならないように注意をしながら、安全対策を行なってきました。向陽園は、ホームページを見て頂ければ解るように「馬がいる施設」です。基本的には、障がいを持つ方々に乗っていただいていますが、休日には、馬と触れ合うために、地域の方々も数多く来園されます。職員が「あたり前の対応」「あたり前の環境」を常に意識し、業務にあたるためにも、社会との風通しを良くしていくことは大切だと思います。

 

事件から1年、様々な会合にお邪魔すると「防犯カメラは設置したか?」「防犯対策のために補助金を出してもらえるよう要望すべきではないか」という、質問や意見が多く聞かれるようになりました。防犯カメラを設置することが当たり前のように……。リスク対策も考え出すときりがなくなりますよね。

 

事件から1年、愛泉会では2か所のグループホームの開設を目指し、力を貸していただける方々との調整を進めています。ここ1週間、テレビ、新聞で、事件が取り上げられることが多くなっていますが、その中に「意思決定できない人は……」という犯人の手紙が取り上げられていました。皆さん周知のように、知的障がいを持つ方々が、意思決定ができないなどということはなありません。適切な支援があれば、意思決定は十分に可能です。そのためにも、施設、病院、家庭以外の暮らしの場を用意しておくことが必要です。

 

30年向陽園で暮らし、グループホームに移行したAさんのお母さんから、先日、向陽園の園長がこう言われたそうです。「施設にいた時には、どこまで生活が乱れるのかと心配した……。ホームに移って良かった。」と。言葉で上手く意思表示できない方々も、行動で想いを伝えてくれるのです。

 

そして、地域に出て、地域の方々の側で生活し、触れ合うことによって、障がいを持つ方々に対する見方、イメージも変わっていくのです。

 

 

 

 

 

 

グループホーム支援センターみらいの職員募集について(急募)

サービスの充実のため、山形市長町、宮町、桧町、花楯のグループホームで働いていただける職員を募集しています。

基本給)高校卒  140,000円~
短大卒  153,520円~
大学卒  159,040円~
(社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士 7,000円プラス)

夜勤手当)1回3,000円

宿直手当)1回4,000円

諸手当)扶養手当、住居手当、通勤手当、時間外勤務手当、期末手当、勤勉手当等の手当をそれぞれの支給要件に応じて支給。

昇給)年1回

賞与)年2回(6月、12月)

休日休暇)休日/週休2日制、夏季・年末年始休暇
休暇/年次有給休暇、慶弔休暇、特別休暇(私傷病、子の看護等)、育児休業、介護休暇ほか

待遇・福利厚生・社内制度)健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、退職金共済、財形貯蓄、職員互助会、等

勤務地)山形市

勤務時間)基本となる勤務時間は、8:30~17:30までの1日8時間(週40時間)となります。
宿直)8:30~翌日9:30
夜勤)15:30~翌日9:30
等の変則勤務もあります。

お問い合わせ先)愛泉会法人本部  023-664-2117(八柳、高山、庄司)

新年度を迎えて

桜も見ごろを過ぎ、葉桜になりかけている今日この頃ですが……。社会福祉法の一部改正による法人組織の見直し、定款、定款施行細則の変更等もあり、今年は、職員配置の内示が1か月ほど遅くなり、4月ももう終わりだというのに、様々な調整で毎日事業所周りをしています。利用する方々には、ご迷惑をお掛けしていないでしょうか。

総会、役員会シーズン真っ只中ですが、どの会合に出ても話題になるのは、働きて不足、人材難の話題です。30年前、向陽園開設時には採用試験に、200~300人の応募者があったように思いますが(その時の応募者ですが、会場には人が溢れていました)、昨年度は、予定していた採用試験も応募者がおらず、試験を行なうこともできませんでした。何とも厳しい時代です。この難局を乗り切るには、皆で力を合わせて……、ということで今年度は、法人本部の職員もグループホームの夜間支援のお手伝いをさせていただくことになりました。本日は、2回目の宿直明けです。

何年かぶりでの夜間支援、ホームの皆さんは、受け入れてくれるのだろうか?足手まといにならないのだろうか?と恐る恐るホームに足を踏み入れると、そこには向陽園開設当初から顔馴染みのAさん。第一声が、「○○さん、明日帰る?」「明日帰って、家でご飯たべるの?」……。Aさんが、向陽園で過ごされていた時には、この質問攻めで、他の利用者さんとトラブルになっていましたが、ホームでは、トラブルになりません。それぞれに自分の居場所があり、自分なりの過ごし方があり、用事を済ませば、皆思い思いの時間を過ごすため、自室に……。向陽園で過ごしていた時と、言動は変わっていないのに、皆穏やかにすごしている。

Aさんが、向陽園入所された昭和61年当時、Aさんの居室は、8畳部屋に4人が生活。真夜中に、電気が付いているので、見に行くと同室のBさんに無理矢理起こされ、赤いジャケットに着替えさせられて、眠い目で布団の上になすすべもなく座っていたことがあったけど、ホームでは、8畳間にベッドを入れ、悠々自適の生活。

この生活を守っていかなければならない。そして、施設を必要としない仕組みを作っていかなければならない。時代に抗って……。
少子高齢化社会なんかに負けないぞ。皆で知恵を振り絞り、地域生活支援の新たなあり方を模索していく1年にしたいと思います。

「決して負けない強い力を僕は一つだけ持つ……」

平成29年度採用職員の募集について

業務拡充のため、平成29年4月より一緒に働いていただける方を募集いたします。

募集職種:支援員・看護師・作業療法士・事務員

採用予定人員:すべての職種若干名

勤務地:山形市、天童市、上山市、中山町

※※詳細についてお知りになりたい方はご連絡ください。募集要項を

お送りします。

連絡先:法人本部 023-664-2117(庄司・八柳)

許されざる蛮行に

 神奈川県相模原市の障害者福祉施設「津久井やまゆり園」において、施設内に侵入してきた男に入所する方々が刺され死亡、受傷するという痛ましい事件が起きてしまいました。この事件により、尊い命を奪われた方々に対し、心からお悔やみを申し上げます。また、負傷された方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。

 抵抗する力の弱い人たちを相手にこのような卑劣な犯行が行われたことに、強い怒りを感じます。危険を察知し逃げること、相手の攻撃に抵抗することができないことは、一緒に暮らしたことのある人間ならば解るはずです。震災や水害の時になすすべもなく、立ち尽くしていた向陽園の利用者の姿を重ねて考えた時、逃げるすべ、抵抗するすべ、助けを求めるすべもなく、凶行に身を委ねるしかなかったのではないかと思います。このような蛮行が許されるはずはありません。そして引き金となったと思われる障がいを持つ方々に対する偏見と歪んだ人間観。ニュース等で繰り返し報道される度に、怒りと憤りが煮えたぎってきます。いない方が良い人間なんてこの世界にはいません。障がいがあっても、なくても子どもを育てることは大変です。喜びもあれば、悲しみもあります。障がいを持つ子どもを持つ親御さんのご苦労の多くは、周りの人間の無理解と偏見なのではないでしょうか。

 今日は、朝からマスコミからの電話が頻回です。施設を守るための対策、センサーや塀、警備体制をどのように考えるかという質問がほとんどです。確かに対策は必要かもしれません。しかし、塀やセンサーを施設の周りに貼り巡らすことは、地域からの隔絶、生活する方々の人権の侵害という危険性も孕んでいます。また、愛泉会の事業所を使う方々のほとんどは、地域の中のグループホームで生活しています。地震や火災などの災害の時には、地域の方々に協力していただきたいと考え、ネットワークづくりに取り組んでいます。地域の方々が、警備員であり、塀であり、センサーであれば良いなと思い地域の方々との交流に力を入れています。

 二度と起こしてはいけない事件です。声の続く限り、この事件を怒り、抵抗する力の弱い人たちの楯になっていきたいと思います。そして、もっともっと多くの方々に、障がいを持つ方々のことを理解してもらい、地域で暮らす障がい者を守り、支える「人間の楯」を増やしていけるよう実践していきたいと思います。

 最後になりますが、現場に居合わせた方々の心の傷が深くならないよう、そして一日も早く癒えることを願います。

大雨等による影響について

大雨による避難勧告が山形市内各所で出ておりますが、向陽園並びに愛泉会が運営するグループホーム等の周辺地域の河川等は増水等の心配はないようです。各事業所は平常通り運営します。なお、避難勧告等が出されている地域にお住いの方々でコミュニティーセンター等への避難が困難だと考えられている方は、愛泉会の事業所を福祉避難所等として一時的に利用していただくこともできますので、お問い合わせください。

障がい者福しの「し」は、「志」です

園長職を拝命し、様々な方々の前で話をさせていただく機会をいただくのですが、終わった後は必ず後悔です。上手く話ができなかったこと、余計なことを言ってしまったこと……。今日は、当法人の放課後等デイサービスをご利用の家族懇談会であいさつをさせていただいたのですが、またまた余計なことを言ってしまいました。本日おいでの皆様、「こんなサービスがあったら良いな」と私が考えた夢、法螺話だと、聞き流してください。

サッカーのワールドカップ2次予選が始まりましたが、サッカー日本代表の本田圭佑選手が、ある雑誌のインタビューに、「ゲームにおいて、次の展開が自分の頭で想像できるとき、そのプレーは成功する。」と応えていたそうです。どのようなサービスがあれば、利用する方々、そしてご家族の方々が幸福になれるか、どのようなサービスが今求められているのか、常に考えていくことは大切です。思い余って口に出してしまうのが、私の悪いところですが。

さて、最近は、どの会合に参加しても、福祉職場の人材不足の話題で持ちきりです。新しい「公民」の教科書には、「介護の職場は、低賃金」と記述されたそうですが、先日見た刑事ドラマの犯人は、元ヘルパーで、おにぎりが値下がりするのを待って購入し、財布ではなく、給料袋からお金を支払うという設定でした。「そんなに福祉で働く我々は貧しいか!」。

お金は大切ですが、世の中には低賃金だから避けるという人間ばかりではありません。私は、と言えば、お金はとても大好きですが、大学の同じゼミで共に障がい者福祉を語り合った仲間が、低賃金を理由に一般企業を志望したことに、「お前は口先だけで障がい者福祉を語っていたのか」と腹を立て、この道に入りました。変わり者はいるものです。

大切なのは、「遣り甲斐」や「働き甲斐」が持てる職場であること。サービスの質を担保するため、マニュアルは必要ですが、職員の話を聞くとルーティーン業務があまりにも多すぎるように思います。この仕事の醍醐味は、利用する方々と相対し、ゆらぎながら、ぶれながらも利用する方々に真摯に向き合っていくことだと思いますが、現場で働く職員の話を聞くとルーティーンに押しつぶされそうになりながら働いているように感じられます。「必要と感じた時には、業務を省くことも必要だよ」と話していますが、間違いでしょうか。その判断が、正しかったか、間違っていたか、チーム皆で振り返ることも現場力を高めることに繋がっていくのではないかと思います。歯車からの脱却、スタッフを歯車にしない支援の構築が必要かもしれません。

東京では、町田福祉園の阿部美樹雄先生たちが中心になり、知的・発達障がい者福祉にかかわる人たちが、福祉の魅力を語り合うことを目的に、「知的・発達障がい者福祉サポーターズドリームプラン・プレゼンテーション」が開催されているようです。そしてこの秋、東北でも、現場で働く若い職員自らが企画し、運営する「東北フォーラム」が郡山市で開催するそうです。この仕事に対する熱い想いや夢を皆で語り合う場になるといいですね。

そういえば、とある福祉関係の方が、障がい者福祉の「し」は、「志」だとおっしゃっていたと聞きました。「障がい者福志」。私たちは「こころざし」を持って仕事をしているのです。

目指すは、ミニ施設?脱施設?

夏の日差しも和らぎ、少しづつ秋が近づいて来ているようです。「あんなに暑かった夏はどこに行った?」と思えるような昨日今日です。

さて、今年の夏は、法人として2つの調査にご協力させていただきました。1つは、東北福祉大学都築教授の研究室の学生さんをお迎えしての「天童市における障がい者の望ましい地域生活の在り方に関する調査」です。8月19日~21日までの3日間、デイサポート天花の2階を主会場にして、天童市内にお住いの障がいを持つご本人、ご家族、そして周りでサポートする社会福祉協議会、民生委員、学校の先生など30名近い方々に協力していただき、地域の中で生活していくためには、どのような手立てが必要か、ご意見をお伺いしました。調査結果につきましては、天童市、そしてご協力いただいた皆さんに報告させていただきます。そしてもう1つが青山学院女子短期大学の杉田穏子教授による「障がい受容についての面接調査」です。8月17日~22日までの6日間、当法人のグループホームや就労支援事業をご利用の方々、そしてご家族にご協力いただき、インタビュー調査を行いました。

さて、さて両調査とも、私は面接・調査場面には、入らせていただきませんでしたので、調査の詳細については、ここまで……。しかし、先生、学生さんとの懇親会にはしっかり参加させていただきました。そして、その時にお聞きしたのが、ご本人はもちろん、多くのご家族が地域での生活を望まれているということ。そのための社会資源が不足しているのはもちろんですが、向陽園をはじめ入所施設の体制に心細さを感じていること。

ベンクト・ニィリエ著「ノーマライゼーションの原理~普遍化と社会変革を求めて~」を河東田博先生と共に訳された杉田先生からは、欧米での施設解体、そしてその後のホームの姿、日本各地の施設の状況、施設の限界などをお酒を酌み交わしながら教えていただきました。

ここしばらく向陽園をどのようにしていくか悩んでいましたが、皆さんのお話を聞き、悩みが吹き飛びました。施設は所詮施設です。感覚過敏で生きづらさを抱える方々が生活するのには、最も相応しくない場所です。そして、職員にとってもその生きづらさの手掛かりを探りにくい場所です。
「脱施設」。「施設の生活で落ち着いたら地域で生活」ではなく、「落ち着いた地域の生活の中で、生きづらさの解消」。

2つの調査にご協力していただいた皆さん、ありがとうございました。そして都築研究室の皆さん、杉田先生、ご苦労様でした。