blog庄司園長の部屋

心の会話

以前にも紹介させていただいたと思うのですが、愛泉会では、日々の業務、利用する方々との触れ合いの中での「気づき」を大切にしてもらいたいことで職員皆から業務日誌を書いてもらっています。今回は、そんな中から一つ素晴らしいなと感じた「気づき」を紹介させていただきます。基本的に、業務日誌については、直属の上司を含め数人の職員しか見てはいけないことになっていますが、他の職員の方々にも見てもらいたいなと思いましたので、ご本人に承諾をいただいて紹介させてもらいます。

この日、A支援員は、同僚のB支援員とともに利用する方々数人と事業所側の公園まで散歩に出かけました。A支援員は、通所利用のCさんの車いすを押していたようです。
「この散歩の日、Cさんとの会話の中で『ブランコに乗ったことがない。乗ってみたい』という想いを抱いていることがわかり、『是非叶えてあげたい!!』と自分の心に火がついてしまった。B支援員にお願いして、B支援員の膝に乗っての人生初のブランコに挑戦……、見事成功。」

Cさんは、心身に重度の障害を持つ男性です。ご本人自身から言葉で物事を伝えることはできません。Cさんの意思の確認は、こちらから問いかけをし、頷きや表情などから判断させてもらっているようです。A支援員は、公園で一休みしている時のCさん視線から、ブランコに乗りたいのではないかと感じ、「ブランコに乗りたいの?」と問いかけ、ブランコ挑戦に至ったようです。漫然と業務をこなそうと考えていたのでは、気づかないことですし、相手の立場に立って考えなければ、行動に至らなかったのではないかと思います。

愛泉会の事業所を利用する方々の多くは、言葉で自分の想いを伝えられない方々です。言葉と言葉のやり取りではなく、相手の表情やしぐさ、行動から、想いを察し、「……したいの?」「……と思っている?」とエコーのように投げかけることによって成立する会話、心と心のやり取り、心の会話を大切にしたいものです。

最後にA支援員は、このように結んでいます。
「私にとっては、ブランコに乗ることは普通のこと。しかし、Cさんにとっては、夢だったかもしれない。あらためてすごい職業に自分は就いたなと思った。」
本当にすごい仕事です。