blog庄司園長の部屋

津久井やまゆり園事件から1年

神奈川県の津久井やまゆり園事件から1年が経ちました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、事件に合われた方々の心と体の傷、そして深い悲しみが一日も早く癒されますことをお祈りいたします。

 

この1年、愛泉会では、地域の方々と施設・ホームで暮らす方々との間に垣根を作らないように、過度な対応にならないように注意をしながら、安全対策を行なってきました。向陽園は、ホームページを見て頂ければ解るように「馬がいる施設」です。基本的には、障がいを持つ方々に乗っていただいていますが、休日には、馬と触れ合うために、地域の方々も数多く来園されます。職員が「あたり前の対応」「あたり前の環境」を常に意識し、業務にあたるためにも、社会との風通しを良くしていくことは大切だと思います。

 

事件から1年、様々な会合にお邪魔すると「防犯カメラは設置したか?」「防犯対策のために補助金を出してもらえるよう要望すべきではないか」という、質問や意見が多く聞かれるようになりました。防犯カメラを設置することが当たり前のように……。リスク対策も考え出すときりがなくなりますよね。

 

事件から1年、愛泉会では2か所のグループホームの開設を目指し、力を貸していただける方々との調整を進めています。ここ1週間、テレビ、新聞で、事件が取り上げられることが多くなっていますが、その中に「意思決定できない人は……」という犯人の手紙が取り上げられていました。皆さん周知のように、知的障がいを持つ方々が、意思決定ができないなどということはなありません。適切な支援があれば、意思決定は十分に可能です。そのためにも、施設、病院、家庭以外の暮らしの場を用意しておくことが必要です。

 

30年向陽園で暮らし、グループホームに移行したAさんのお母さんから、先日、向陽園の園長がこう言われたそうです。「施設にいた時には、どこまで生活が乱れるのかと心配した……。ホームに移って良かった。」と。言葉で上手く意思表示できない方々も、行動で想いを伝えてくれるのです。

 

そして、地域に出て、地域の方々の側で生活し、触れ合うことによって、障がいを持つ方々に対する見方、イメージも変わっていくのです。