blog庄司園長の部屋

熱帯夜の寝苦しい夜に

若い職員を対象に法人独自で「強度行動障がい支援者基礎研修」を行っていますが、今週は、「行動の背景と捉え方」をテーマに、自閉症の人に良く見られる感覚過敏や氷山モデルの考え方について、演習などを行いながら1時間ほどの勉強会を行いました。今週の講師は、村井センター長と僭越ながらも私です。

現場から離れ、自閉症についての学習も疎かになっているため、本を新たに購入し、勉強をし直しての登板ですが、最近は、課題解決、問題解決にばかり囚われ、自分でも何屋なのか解らないほど、すれて来たなと感じるような有様です。そんな時、大先輩のSさんから、「この仕事は、問題をなくすというマイナス思考の仕事ではないのではないか。共に暮らし、活動をするという相互交流の中で、何かが生まれてくる、そんなプラス思考の仕事ではないか」というご意見をいただきました。氷山モデルなどを語りながらも、問題や課題にばかり目がいき、消去法的な考えになっていたかな……。感覚過敏の話もそうです。皆に理解してもらいたいのは、生きづらさや痛みです。共感が伴わなければ、知識の押し売りです。

最近、バックに入れて持ち歩いているのは、テンプル・グランディンさんの「自閉症感覚」(NHK出版、2014年)です。グランディンさんは、「大きな騒音を聞くと、耳が痛くなります。それも、歯医者のドリルが神経に当たったような痛さ……」だそうです。ある人は、「シャワーの水が、針で刺されたように痛い」そうです。「ご飯を噛むと、砂を噛んだように感じる」人もいるそうです。また、「人の顔が、ピカソが描いた二次元のモザイクのように見える」人もいるそうです。視覚、聴覚、嗅覚、触角、痛覚……、様々な感覚が、大脳でうまく処理できないために、過敏または鈍感になってしまうようです。

シャワーの流水が針で刺されたように痛いのに、不潔だからと言って、シャワーを浴びるように強要されたら……。ご飯の噛みごたえが、砂を噛んだように感じるのに、偏食はいけないと強要されたら……。そんな状況でも、「嫌」と表現できなかったら……。そんな生きづらさを抱えて生活されているのです。そして、行動は、そうした生きづらさを訴えるための一つの手段です。

私たちの仕事は、そうした生きづらさを一つひとつ和らげていくことです。熱帯夜の寝苦しい夜に、クーラーを消して、彼らの生きづらさを……。もっともっと辛い痛みか……。

併設型の短期入所は制度として限界に来ているのでは?

「重度障害者支援加算Ⅱ」について、ブログを書いたら、様々な施設の方から、問い合わせの電話をいただきました。私がおこたえできるのは、ブログに書いてあることぐらいで、「詳しいことは、日本知的障がい者福祉協会のホームページを見てください」とおこたえするのが関の山ですが、どの施設も行政機関に問い合わせても、明確な回答が得られないということで、藁をもつかむ思いで電話をかけてこられたようです。

入所支援を行う施設は、確実に障がいの重い方々の生活の場になりつつあります。向陽園は、平成19年10月に新事業体系に移行したのですが、平均障がい支援区分は、平成19年度4.3、昨年度が4.8と0.5ポイント高くなっています。障がい支援区分が低くとも社会生活を送る上で課題があって入所される方もいらっしゃるので、支援区分だけで推し量ることはできないのですが、先の加算の対象となる行動援護点が高い方々は、全利用者の50%を超える数となっています。地域生活への移行がどんどん推し進められ、施設が障がいの重い方々の生活の場(障がいが重いから地域で生活できないわけではありませんが……)になることは決して悪いことではありませんが、制度がそれに伴って変わっていないのは問題です。

向陽園では平成6年から併設型の短期入所を行ってきましたが、短期入所の受け入れをどのように行っていくかが大きな課題になっています。先日、新庄養護学校の見学会に参加させていただきましたが、東南村山圏域の在校生は、小学部は、0人でした。親元から学校に通えるようにと、村山特別支援学校を各地に作っています。親の愛情が必要な児童期に親と一緒に過ごせることは、ご本人にとって大変望ましいことですが、親御さんの負担は大きいものと思います。レスパイトとしての短期入所は大変重要ですが、入所施設は、入所する方々の生活を支えるので目一杯です。介護施設で働いた経験がある職員からは、「介護施設では、短期入所専門の職員が何人もいて、短期入所を利用する方々の支援は、短期入所の職員が行っている。入所支援の職員が片手間のように短期入所の支援を行うなんておかしい」との声が聴かれます。もっともな話です。障がい福祉サービスの短期入所は、単独型にしろ併設型にしろ、別の事業に配属された職員が兼務で行っています。そろそろ職員が兼務で行う短期入所は終わりにしなければなりません。

6月末より、若い職員を対象にした「強度行動障がい支援者基礎研修」を法人研修として開催しました。6回コースで毎週行う予定です。力によらない、適切な支援を行うために、仕事終わりにもうひと頑張りしてもらいながらの講義です。ソフト面での充実とともに、制度やハード面での充実が絶対に必要です。

「Cイズム」など入らない職場風土を作るぞ

「手をつなぐ 5月号」、「私たちは、怒らなければいけない~袖ヶ浦・養育園の虐待事件を考える~」の記事を読み、あまりの内容に衝撃を受け、2週間毎日読み返しています。と、そんなところに、今度は山口県下関の障がい者施設で虐待事件があったとのメールが入ってきました。早速、パソコンで、動画(ニュース報道)を見ましたが、言葉が出ません。言語道断です。

何故、2週間も袖ヶ浦の記事を読み返しているかといえば、記事がリアルで、決して他人事とは思えないからでしょうか。向陽園と、袖ヶ浦、舟板一枚の差しかないぞと感じられる記事です。向陽園も、言葉で自分の想いを上手く伝えられない方々、支援度の高い方々が多くなっています。深夜帯の支援はといえば、向陽園は2名で、グループホームは1名の配置です。職員の倫理観にすべてがかかっているという状態では、いつどのようになるか危ういものです(決して信じていないわけではありませんが、信じているからいいという問題でもないですね)。

袖ヶ浦の被告も、勤め始めた当初から暴力行為を行っていたわけではなかったようです。福祉施設に勤めるのですから、「人の役に立ちたい」とか、「利用する方々の幸せのためにお手伝いをしたい」とか希望や夢を持って就職したはずです。記事によれば、先輩職員、Cとの出会いが大きかったようです。「入所者がしてくるんだから、制止のため仕方がない」というCの言葉に、「暴力をしないで支援をする自分は馬鹿みたいだ」と、段々と暴力を正当化するようになり、行動障がいを持つ方々に力で支援を行う職員へと変貌していったようです。そしてこの事件では、法的責任を問われたのは被告1人のみですが、実際には、「Cイズム」という暴力による支援を肯定する職員グループが形成され、日常的に利用者に暴力が行われていたようです。

そんな職場にしたくはありませんが、そんな職場に陥るのも簡単なことです。

そうしないためには……。理念の徹底、利用者中心に物事を考える職場風土の構築……、そして支援力・技術の向上。「サポート1月号」の宮下先生の記事(「みんな幸福になりたい~本人中心の支援を構築するために~」)を真似して、朝の引き継とは別に、「夜勤状況の報告会」を毎朝行うことにしました。スーパービジョンなんて大層なことはできないかもしれませんが、現場の「今の課題」に耳を傾けることは私にもできます。始めたばかりで、夜勤者も私もたどたどしい話し合いですが、ケース検討と理念の確認、そして何よりも利用する方々の視点で物事を考える習慣がみんなの中にできれば良いなと思います。また同時に、行動障がいの研修会も体系的に行っていければと、資料を作り始めました。利用者中心の実践、専門家としての適切な支援が行える職員集団、Cイズムなど入らない職場風土を作っていきたいと思います。

「あしたのそのつぎ」を見つめて

朝日新聞で連載されていた「折々のうた」が、4月より「折々のことば」として復活しました。昨日は、アーチストの日比野克彦氏のことばが紹介されていました。

「あしたのそのつぎに思いを描きます。まだ見えないけど、なんとなく見えるかな、を大切にします」

さて、先日行われた天童事業所「デイサポート 天花」の内覧会には、多くの方々に来場していただきました。感謝申し上げます。また、天童事業所が開設するということでメール等でも沢山のお問い合わせがありました。皆さんからのお問い合わせや要望等で最も多かったのが、「ショートステイ」の実施だったようです。

「ショートステイ」については、天花での実施も一時検討されたのですが、「スプリンクラー設備」の設置がネックとなり天花での実施は、今回見送らせていただきました。障がい支援区分4以上の方が多く利用する寝泊りする事業所(施設入所、グループホーム、ショートステイ)には、「スプリンクラー設備」を設置することが義務づけられているようです。グループホームの時にもご紹介させていただきましたが、スプリンクラー設備の設置には、多額の費用が掛かります。「月のひかり」でもショートステイを行っていますが、障がい支援区分の認定がない、児童に特化した形で運営するということで、スプリンクラー設備の設置は、目をつぶってもらっているところです。先日、川崎で簡易宿泊所の火災がありましたが、そうした事件の度に規制が強化されてきます。

「グループホーム + ショートステイ + グループホームでの生活を目指した体験利用 + 相談(コーディネート)」を一体的に行う拠点を福祉圏域または市町村に整備していくという「地域生活支援拠点」についての留意点等が厚労省から示され、いよいよ骨格が見え始めて来ました。グループホームの定員が特例として「10名 × 2 20名」までOKと言うところが、気になるのですが(グループホームのミニ施設化)、愛泉会ならこう考えるという、愛泉会版「地域生活支援拠点」が描けないか、検討してみたいところです。

「365日24時間、いつでも利用できる、コンビニエンスストアーのような福祉事業所」

「天花」の開設に満足することなく、「あしたのそのつぎ」を見つめて、取り組んでいきたいと思います。

共感する力

杉原保史さんが書かれた「プロカウンセラーの共感の技術」なる本を最近は、読んでいます。愛泉会の利用者支援の基本理念にも「受容と共感」がうたわれていますが、「共感」は対人援助サービスの基本です。

この仕事について28年、様々な方々と一緒に仕事をさせていただいておりますが、支援の様子を見ていて「センスがあるな」と思える人は、「共感する力」が高い人たちです。この本によれば、共感する力は、生まれつき備わっているものではなく、後天的に見につけていくものだそうです。私たちが、「共感する力」が高いなと感じられる人は、親、家族との関係が良好だった人たちなのだそうです。そして、対象者によっては、「共感する力」が高い人が、全く共感できず、「共感する力」が弱いと感じられる人が、共感できるなどという場合もあり、それは、その人に対する興味の問題なのだそうです。上手く表現できないので、詳しくは本を読んでください。ここで申し上げたいのは、共感力が強い人、弱い人にも、作為的に興味がわくように仕掛ければ、共感できるようになるのではないか、ということです。基本理念である「共感」を徹底するためには、仕掛けをすればいいのか……。

さて、2週に1度のペースでブログを書いているのに続けて書いているのは、うれしいことがあったからです。それは、いつもの「業務日誌」です。

「支援員として、一皮剥けた」と感じられる内容に喜びを隠せません。グループホームでの「語る会」の取り組みです。昨年開設したばかりのホームですが、入居する方々の想いを大切にした取り組みを行っていきたいと考え、Tリーダーは、PCPの手法を取り入れながら、入居者の視点で考えること、入居者の想いを引き出していくこと、そして引き出した声や要望を必ず実現させていくことを大切にし、取り組みを行ってきました。そして、この春、「語る会」で要望があった馬見ヶ崎川河川敷での花見を行ったそうです。高齢の方、障がいの重い方が生活するホームなので移動も大変だったようですが、業務日誌には、苦労を伺わせる記載は一切ありません。障がいの重い入居者の速度に合わせ、一緒に歩いたり、荷物を持って手伝ってくれたりする入居者の「心の優しさ」に感激したり、入居者がどんな風景に関心を持つのか、入居者の視点に立ち一生懸命見ようと努力する姿勢が伺われます。

また、入所支援のMリーダーは、Aさんと食事に出かけた時の様子を書いてくれていました。Aさんは、障がいが重く、全面的な支援が必要な方です。常日頃、あまり私たちの声掛けや誘導に応じてくれることはありません。その日は、Aさんの誕生日のお祝いで山辺町の食堂まで園の車を使い外出したようです。食事を済ませ、店を出た時、路線バスがたまたま通り掛かったのを見て、Aさんは、「バス」と言ったそうです。常日頃、あまり外出にも連れて行けず、好きなバスにも乗せてあげられず申し訳ないと感じたMリーダーは、「今がチャンス」とばかりに、一緒に行った職員に園の車を任せ、Aさんと一緒にバスに乗り込んだそうです。山形市役所までの短い旅。それでもAさんは、満足だったようです。上手く言葉で表現できない方たちの意思決定支援には、臨機応変さが大切なんだなと、Mリーダーの記載を見て感じました。

今年度、愛泉会の事業所として最も大切にしたいのは、「利用者中心の実践」です。それには、利用する方々1人ひとりの想いや願いを汲み取ろうとする姿勢、共感する力が欠かせません。スタッフみんなの共感する力を養っていくこと、高めていくことも私の仕事です。

福祉の仕事は楽しいですよ

今年もまた短大での授業がはじまりました。「相談援助」の授業を竹田さん、八柳さんと分担して受け持っているのですが、私の担当は、ケースワークやグループワークを中心にソーシャルワークの原理、原則をお伝えすることです。学がない私が授業をするのですから、理論や理屈よりも、実際の現場で取り組まれていること、利用する方々と接する喜びなどをお伝えすることをお伝えするのが関の山です。今年で7年目になるのですが、学生は、年々減少傾向にあるようです。若い人たちの福祉離れは深刻なようです。

さて、昨年、開設した上山市のグループホームみるく、くれよんに入居する方々のお話です。園からは、7名の方々に入居していただきましたが、いずれも20年、30年と長い間、施設や病院で生活することを余儀なくされた方々です。

Aさんは、向陽園での生活が8年、向陽園に入られる前に、他の施設に15年と親元を離れ20年以上施設で生活されておりました。施設で生活している時には、自分の居室で寝ることはなく、居室側のデイルームに布団を持ってきて休まれていました。Aさんは以前、薬の調整か何かで、精神科に入院されたことがあったのですが、Aさんは、鍵がかかる病室での生活を余儀なくされてしまったようです。大切な持ち物とは別々に……。Aさんには、それが何よりも辛い体験だったようです。

Aさんは、上山のホームの開設と同時にホームに移られたのですが、入居したその日から自室でゆっくり休まれたそうです。向陽園の居室には、病院での辛い日々を彷彿とさせる何かがあったのでしょうね。そして、ホームから買い物に出かけるため、ヘルパーさんの運転する車で向陽園の前を通った時のこと、Aさんは、向陽園を全く見ようとはせず、向陽園が見えなくなるまで反対を向かれていたそうです(「そんなにホームが良いのか」と、施設で働く職員は、少しがっかりですが、施設職員よ嘆くなかれ、皆の力が結集されて、ホームでのAさんの生活があるのです)。

とある研修会で以前こんな話を聞きました。「『100人一緒に入れる風呂に100人一緒に入浴させ』、『100人一緒にご飯が食べられる食堂で100人一緒にご飯を食べさせ』、それがおじいちゃんの仕事だと孫や子供に誇れるかと、『おじいちゃんは、囚われの生活を余儀なくされていた方々を少しでも自由に、そして解放された生活を提供するために働いてきた』と、孫や子供に誇られる仕事をしよう」と。

人は環境ない存在です。環境を改善すること、社会資源を調整することによって、1人ひとりの生活課題を改善すること、自己実現を図っていく活動がソーシャルワークです。3K、5K、人の弱い部分を支える仕事だから当然あります。それでも福祉の仕事は楽しいですよ。

重度障がい支援加算(Ⅱ)の新情報です

平成27年度は、3年に1度の報酬改定の年とあってサービス管理責任者、リーダーの面々は、申請手続きに大わらわです。特に今回は、厚労省から示された資料だけでは、理解できないものが多く、悪戦苦闘しているようです。昔、オフコースの歌は、素人が演奏できないように、難しいコードで作られているという話を聞いたことがありましたが、今回の報酬改定は、まさにそんな感じです。今回の改定で最も難解なのが、「福祉・介護職員処遇改善加算」と「重度障がい者支援加算(Ⅱ)」です。

昨日行われた「山形県知的障がい者福祉協会総会」では、午後から、日本知的障がい者福祉協会事務局長末吉孝徳氏による「これから求められる 障がい福祉とは」というテーマで、社会福祉法人、障がい福祉制度についてのお話がありました。大変わかりやすいお話で、予定時間を超えても、質問が絶えない状況でしたが、私も「重度障がい者支援加算(Ⅱ)」について、質問をさせていただきました。講演会終了後、末吉事務局長を囲んでの懇親会があったのですが、昨日は、日本協会の方々が厚労省に質問に行っていたということで、講演会の時点では、はっきりしなかったことが、明確になったということで、末吉事務局長よりお話がありましたので、紹介させていただきます。

「重度障がい者支援加算(Ⅱ)」ですが、「強度行動障がい支援者養成研修(実践研修)修了者」を配置した場合、1日7単位いただくことができますが、この7単位は、「強度行動障がい支援者養成研修(実践研修)修了者」(平成30年3月31日までに受講する見込みの者を含む)を配置すれば、重度障がい支援加算(Ⅱ)対象者を含む利用者全員分がいただけるそうです。向陽園の場合、現在47名の方が生活し、その内30名近くの方が対象になっていますが、7単位は、47名分いただけるようです(ここまでは、講演会でお話がありました)。

「強度行動障がい支援者養成研修(基礎研修)修了者」が、「強度行動障がい支援者養成研修(実践研修)修了者」作成したシートに基づき、強度行動障がいを持つ方に対して、夜間に個別支援を行った場合にいただける1日180単位の加算については、現段階では、「強度行動障がい支援者養成研修(実践研修)受講予定者」を届出していれば、特段シートを作成していなくとも良いそうです。また、「強度行動障がい支援者養成研修(基礎研修)修了者」については、講演の際には、ローテーションに入る職員全員が受講する必要があるのではというお話でしたが、厚労省の見解は、「重度障がい支援加算(Ⅱ)対象者÷5」の職員がいればよく、向陽園の例でいえば、「30名÷5」で、6名の職員が「強度行動障がい支援者養成研修(基礎研修)」を平成30年3月31日までに受講するという計画を届け出れば、30名分180単位の加算がいただけるようです。

今回は、事業者対象の内容になってしまいました。お金の話でみっともないのですが、良い職員を数多く配置し、利用する方々により良い支援、サービスを提供するためには、大切なことです。申し訳ございません。

平成27年度もよろしくお願いいたします。

平成27年度がいよいよスタートしました。昨日行われた辞令交付式では、新たに入職した9名の職員に理事長より辞令が手渡されましたが、職員の数もいよいよ200名を超える数になったようです。今年は、法人設立から30年目の節目の年になりますが、向陽園スタート時の職員が24名でしたので、30年で約10倍になった計算です。

事業所の数も30年前には、想像できなかったような数になりましたが、27年度は、新たに天童市内にも事業所を立ち上げる計画です。鉄筋2階建ての建物をお借りしての、事業開始ですが、1階は、日中活動の場として、2階は、地域の方々や障がいを持つ方々のご家族等が利用する「集いの場」にしたいと考えています。フロアーを少し改修していただき、6月頃からスタートできるよう手続きを進めていきたいと考えています。

昨年2月より作成してきた「中長期計画」も先日開かれた理事会、評議員会で承認され、27年度は、その1年目として、事業を展開していくことになりますが、最もこだわっていきたいのは、「利用者中心の実践」です。27年度は、報酬改定等もあり、収支状況も厳しくなることが予想されますが、「実践が新たな制度を生み出すこと」を信じ、利用する方々が望まれるサービス、利用者の方々の想いや声を中心に据えた活動づくりを行っていきたいと考えています。その一環として、向陽園では、入所利用の方々の食事料金を少し変更させていただこうかと考えています。これまでは、調理委託業者との契約等もあり、他の入所施設にならい、1日単位(1450円)で食費をいただいておりましたが、食事提供加算の減額等により利用する方々の負担が増大することなどから、食べた分だけ(1食単位で)いただくことにしたいと考えています。

組織が大きくなっても、小さな事業所のように即対応、即実行。利用する方々、ご家族の想いやニーズに応えられるよう努力してまいりますので、平成27年度もよろしくお願いいたします。

福井さんのブログ拝見しました

このブログを書かせていただくようになり1年、何だかんだと言いながら、30回目となりました。時々、お会いする方より、「読んでいるよ」と声掛けしていただくたびに、恐縮するばかりですが、今朝出勤すると、サービス管理責任者の深瀬さんから、当法人のサービスを利用していただいている方の親御さんより、「福井公子さんのブログを読んで欲しい」との伝言を預ってきたとのことで、早速福井さんのブログを読まさせていただきました。

「親亡き後」というタイトルで、グループホームのこと、そして前回記させていただいた地域生活支援拠点のことが親御さんの視点から述べられてありました。福祉については、「公助、共助、自助」などという言葉をよく使いますが、福井さんは、日本はまだまだ「自助」の側面が強い、障がいを持つ方々の居住の場は、親との同居が圧倒的に多い。親には親の生活が、そして子供には、子どもの生活があっていい。障がいを持った子供の親は、自分が死んだ後のことまで責任を持たなければならないのか……。

「スープが冷めない距離」などと言いますが、愛泉会では、生まれ育った家から「スープが冷めない(少し冷めた方がいいかな?)距離」にグループホームがあったらいいなと考えています。そして、「家に勝る生活の場はない」と言う人もいますが、手をつなぐ育成会の役員の方の言葉を拝借すれば、「グループホームは2番目に好きな場所」で良いと思います。決してご家族の方々には勝てませんが、2番目に好きな場所になってもらえればといホームを作っています。

そして福井さんのブログに「夢」として、「ケアラー支援センター」構想が載っていました。不勉強で申し訳ございませんが、「ケアラー」とは、ご家族に障がいを持つ方、お年寄り、病気の方がおり家でケアをしている人のことを言うのだそうですが、大変ご苦労されているようです。そうした方が好きな時に来て憩い、主人公になれる場、それが「ケアラー支援センター」のようです。愛泉会の新しい事業に頂戴してもよろしいでしょうか。「ケアラー喫茶」、「ケアラー居酒屋」……。

なお、福井さんのブログは、「生活書院」のホームページに掲載されております。

第4期山形県障がい福祉計画(案)について

前回、グループホームのスプリンクラー設備設置について、ご紹介させていただきましたが、今年度計画していた「つばさ」、「あすなろ」につきましては、先週初めに正式に交付決定をいただき、ようやく工事を開始いたしました。入居する方が生活する中での工事になりますので、生活に支障をきたさないように施工業者さんと連携を取りながら進めていきたいと思います。一安心とほっとする間もなく、ホーム等へのスプリンクラー設置のための財源が補正予算として承認されたということで、さっそく新たな申請の通知が県よりあり、次のホームへのスプリンクラー設備設置に向け、申請を開始しました。補助金をいただけるのは、大変ありがたいことです。

さて、山形県手をつなぐ育成会さんのブログでも「第4期山形県障がい者福祉計画(案)」について紹介されておりましたが、先日行われた「社会福祉関係団体と県担当課長との懇談会」に参加させていただき、福祉計画の概要について、説明をお聞きしてきました。様々な団体の方々が参加しての懇談会でしたので、あまり多く発言することはできませんでしたが、「実践する者」として何点か気になることがありました。

一つは、計画の目的、「県内のどこに住んでも必要とされる訪問系サービスの保障」です。山形県内で障がい福祉関係のホームヘルプサービスを行っている事業所のほとんどは、市町村の社協さんか民間企業で、社協さん以外の社会福祉法人で行っているのは、愛泉会ともう1カ所だけのようです。日本知的障がい者福祉協会で全国の事業所に調査したところ、収入面で苦戦している事業所がほとんどのようです。愛泉会のホームヘルプも利用時間が伸びても収入が上がらない状態です。障がい福祉の場合、ヘルパーさんと一緒に休日など映画を見に行ったり、プールに出かけたりすることができるのですが、その支給が、障がいの状況によって国の制度である「行動援護」と市町村事業である「移動支援」に分けられるのだそうです。事業者がいただく報酬では、「行動援護」の方が「移動支援」より高いのですが、なかなか市町村は、「行動援護」を認めてくれないのだそうです。全国調査で、善戦している事業所の多くは、市町村に理解があり、「行動援護」を支給してくれる地域の事業所のようです。いっぱい儲けが欲しいと言っているわけではありません。事業者が独り立ちするまでの間、力添えをお願いしたいものです。

二つ目は、これも目的の「グループホームの充実及び地域生活支援機能の強化」です。グループホームの充実は、大変ありがたいことですが、成果目標に「地域生活支援拠点の整備」があげられています。「地域生活支援拠点」については、まだまだ定義がはっきりしませんが、グループホームは基本的には、定員10人まで、ただし、「短期入所の部屋やホームの体験利用の部屋が一緒にあれば、定員20人まで認める」といった内容の事業所のようです。どう見てもミニ施設ですよね。24年の報酬改定では、施設に併設された短期入所ではなく、日中事業所などに短期入所の部屋を設けた「単独型短期入所」の加算が大幅にあげられました。「より身近な場所で、気軽に短期入所が利用できるようにしよう」という目的だったと思いますが、以外にも大変です。10月にできた「月のひかり」で行っているのですが、縛りがきつく事業立ち上げまでに難航したようです。また、月のひかりは児童専用ですが、大人の短期入所の場合、障がい支援区分との関係で、スプリンクラー設備が必要のようです。そんなこんなで国は、日中事業所での短期入所をあきらめたのでしょうか。グループホームでの短期入所は、「あすなろ」でもやっているのですが、「ホームは、入居する方々の家。職員が勝手にお客さんを止めるのは、反対」という声が現場のスタッフからは、聞こえます。ホームで生活する方々もそしてご家族も見ず知らずの人間をホームに入れることには、抵抗があるのではないかと思います。

愛知県や鳥取県は、グループホームをもっともっと多くするため、建築基準法を緩和する条例を作りました。より良い制度、使いやすいサービスにするためには、思い切った規制の緩和措置も必要と思います。山形県の福祉がもっともっとよくなる福祉計画であってほしいと思います。