blog庄司園長の部屋

許されざる蛮行に

 神奈川県相模原市の障害者福祉施設「津久井やまゆり園」において、施設内に侵入してきた男に入所する方々が刺され死亡、受傷するという痛ましい事件が起きてしまいました。この事件により、尊い命を奪われた方々に対し、心からお悔やみを申し上げます。また、負傷された方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。

 抵抗する力の弱い人たちを相手にこのような卑劣な犯行が行われたことに、強い怒りを感じます。危険を察知し逃げること、相手の攻撃に抵抗することができないことは、一緒に暮らしたことのある人間ならば解るはずです。震災や水害の時になすすべもなく、立ち尽くしていた向陽園の利用者の姿を重ねて考えた時、逃げるすべ、抵抗するすべ、助けを求めるすべもなく、凶行に身を委ねるしかなかったのではないかと思います。このような蛮行が許されるはずはありません。そして引き金となったと思われる障がいを持つ方々に対する偏見と歪んだ人間観。ニュース等で繰り返し報道される度に、怒りと憤りが煮えたぎってきます。いない方が良い人間なんてこの世界にはいません。障がいがあっても、なくても子どもを育てることは大変です。喜びもあれば、悲しみもあります。障がいを持つ子どもを持つ親御さんのご苦労の多くは、周りの人間の無理解と偏見なのではないでしょうか。

 今日は、朝からマスコミからの電話が頻回です。施設を守るための対策、センサーや塀、警備体制をどのように考えるかという質問がほとんどです。確かに対策は必要かもしれません。しかし、塀やセンサーを施設の周りに貼り巡らすことは、地域からの隔絶、生活する方々の人権の侵害という危険性も孕んでいます。また、愛泉会の事業所を使う方々のほとんどは、地域の中のグループホームで生活しています。地震や火災などの災害の時には、地域の方々に協力していただきたいと考え、ネットワークづくりに取り組んでいます。地域の方々が、警備員であり、塀であり、センサーであれば良いなと思い地域の方々との交流に力を入れています。

 二度と起こしてはいけない事件です。声の続く限り、この事件を怒り、抵抗する力の弱い人たちの楯になっていきたいと思います。そして、もっともっと多くの方々に、障がいを持つ方々のことを理解してもらい、地域で暮らす障がい者を守り、支える「人間の楯」を増やしていけるよう実践していきたいと思います。

 最後になりますが、現場に居合わせた方々の心の傷が深くならないよう、そして一日も早く癒えることを願います。