blog庄司園長の部屋

福祉の仕事は楽しいですよ

今年もまた短大での授業がはじまりました。「相談援助」の授業を竹田さん、八柳さんと分担して受け持っているのですが、私の担当は、ケースワークやグループワークを中心にソーシャルワークの原理、原則をお伝えすることです。学がない私が授業をするのですから、理論や理屈よりも、実際の現場で取り組まれていること、利用する方々と接する喜びなどをお伝えすることをお伝えするのが関の山です。今年で7年目になるのですが、学生は、年々減少傾向にあるようです。若い人たちの福祉離れは深刻なようです。

さて、昨年、開設した上山市のグループホームみるく、くれよんに入居する方々のお話です。園からは、7名の方々に入居していただきましたが、いずれも20年、30年と長い間、施設や病院で生活することを余儀なくされた方々です。

Aさんは、向陽園での生活が8年、向陽園に入られる前に、他の施設に15年と親元を離れ20年以上施設で生活されておりました。施設で生活している時には、自分の居室で寝ることはなく、居室側のデイルームに布団を持ってきて休まれていました。Aさんは以前、薬の調整か何かで、精神科に入院されたことがあったのですが、Aさんは、鍵がかかる病室での生活を余儀なくされてしまったようです。大切な持ち物とは別々に……。Aさんには、それが何よりも辛い体験だったようです。

Aさんは、上山のホームの開設と同時にホームに移られたのですが、入居したその日から自室でゆっくり休まれたそうです。向陽園の居室には、病院での辛い日々を彷彿とさせる何かがあったのでしょうね。そして、ホームから買い物に出かけるため、ヘルパーさんの運転する車で向陽園の前を通った時のこと、Aさんは、向陽園を全く見ようとはせず、向陽園が見えなくなるまで反対を向かれていたそうです(「そんなにホームが良いのか」と、施設で働く職員は、少しがっかりですが、施設職員よ嘆くなかれ、皆の力が結集されて、ホームでのAさんの生活があるのです)。

とある研修会で以前こんな話を聞きました。「『100人一緒に入れる風呂に100人一緒に入浴させ』、『100人一緒にご飯が食べられる食堂で100人一緒にご飯を食べさせ』、それがおじいちゃんの仕事だと孫や子供に誇れるかと、『おじいちゃんは、囚われの生活を余儀なくされていた方々を少しでも自由に、そして解放された生活を提供するために働いてきた』と、孫や子供に誇られる仕事をしよう」と。

人は環境ない存在です。環境を改善すること、社会資源を調整することによって、1人ひとりの生活課題を改善すること、自己実現を図っていく活動がソーシャルワークです。3K、5K、人の弱い部分を支える仕事だから当然あります。それでも福祉の仕事は楽しいですよ。