暴行事件と障害福祉現場
山口県下関市の大藤園の支援者による利用者への暴行事件の報道が
何度も何度もテレビで流され知的障害事業所全体の信頼を揺るがす
事態となっている。暴行を受けたご本人、ご家族はあの映像をどの
ようなの想いでご覧になったのであろうか。そしてこれまでも繰り
返し繰り返し起こる知的障害者施設における暴行事件や傷害事件
そして虐待と不適切な支援。その根絶に向けて協会はあらゆる手立
てをつくして必死に取り組むべきであろう。
先日の日本協会の評議員会では山口県の会長さんからの経過報告
を受け施設の管理体制その対応の速度や市の監査体制のあり方も
含め多くのことを考えさせられた。
その席で日本協会前会長である小板会長さんから発言があった。
現在の障害福祉現場は疲弊しておりその在り方について本質的
議論が必要でないかとのご意見だったと思う。
確かに、長年続いた措置時代から、市場原理である支援費制度や、
自立支援法等により多様な経営主体の参入が進み競争が激化して
おりその矛盾が支援現場に大きく影を落としている。
支援を時間で測る障害支援区分や職員配置は常勤換算方式となり
サービス量の飛躍的増加や事業体の裁量権の拡大というプラスの
側面とともに支援現場の専門性は大きく後退しているように思う。
前会長のおっしゃる通り大きな枠組での総括が足りないように思う。
やはり相手によって対応を変えていくべきであろう。介護保険や
障害福祉の次の報酬単価でもゼロやマイナス改正を厚生労働省の
担当課長が発言する事態となっている。現政権も防衛や海外貢献には
熱心でも福祉へのメッセージはほとんど聞かれない。
利用者の権利という視点からはあまりに貧弱な障害福祉現場や高齢
分野、現場の疲弊が大きな課題となっている今
新たな視点の運動が求められていると考える。