社会福祉法人 愛泉会

「愛泉会」は、「楽しく自分らしく生きる」をサポートします。

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井上 博の「行雲流水」

こぼれた砂 2

この冬の間朝の散歩は継続することができた。

冬の朝の光景にも毎日の変化はありその素晴らしさはなかなか言葉では表現ができない。

川の水の音や冬木立を過ぎる風の音、鳥たちのさえずり等々毎日が新鮮である。今年は雪の多様さにも

始めて気がついた。白い悪魔と呼ぶにふさわしい豪雪や吹雪、時にはゆったりと浮かぶように舞う雪、冬の朝日に

照らされ宝石のように輝く雪。様々な表情を見せてくれた。

朝日新聞の山形版に連載されていた「こぼれた砂」が8回シリーズで掲載していただきました。多くの方々から連絡や励ましを受け新聞報道の影響力の大きさを感じました。

取り上げていただいた内容がグループホームの建設反対運動であったり、デリケートな問題が多く責任の所在を明確にするために

井上個人が前面に出てしまう印象でしたが地域移行の取組は愛泉会の多くのスタッフや地域の協力者との共同作業ですのでご理解いただければと思います。

なによりうれしかったのは朝日新聞社のA記者さんが社会福祉に興味をもたれ「社会福祉士」の資格を目指していることが

このたびのきっかけですので彼のその姿勢が素晴らしいと思います。そして4月からは山形を離れて大阪での勤務とのこと。今後とも障害福祉分野に興味をもっていただきたいと思います。

現在思いもよらないような社会問題が噴出している。ひきこもり、ニート、登校拒否、虐待、ホームレス、孤独死等である。

その背景には家族や地域社会の変貌がある。これまで守ってくれていたセーフティ機能が果たせないようになっている。

社会のセーフティネットを構築したり、個人と地域社会の関係を再構築するにはソーシャルワーク実践が最も有効な手段の一つに違いない。

社会の中からこぼれようとする砂受け止める。そして人と人とのつながりを再構築する実践が求められている。

こぼれた砂

上記のタイトルは朝日新聞の山形版に連載されているコーナーのタイトルである。すくい上げた手からこぼれ落ちる砂のように、社会の支援が不十分な人がいます。とのことで第一シリーズは生活困窮者で第二シリーズは知的障害者を取り上げていただいている。

きっかけはこの連載を企画いただいているA記者が社会福祉士の資格を取るために当法人の事業所に実習に入られたことだった。

実習生に法人の歴史や理念についてお話をさせていただいている。そのなかで地域生活を始める際にケアホームや生活介護事業所や自立訓練の場所の設置や開設にあたっては3度ほど住民の方々の反対にあっているとの話をさせていただいた。

始めはもう16年前のこととなる。地域移行のための訓練をはじめるために山形市内の住宅地で隣近所に説明をもとめられた。周辺の奥さまが数名集まっておられ、2時間を超えるやり取りとなった。「障害のある人は怖い」「遠くの施設で暮らせばいいのになんで町中にすまわせるのか」とのことであった。私の不適切な発言「障害のある人は私よりずっと安全です」が相手を怒らせてしまい物別れとなった。しかし、自活訓練は強行し利用者が出入りするようになって周りの住民の皆さんとのやり取りもできるようになり当法人のグループホームにつながっていく。

二つ目は現在新聞に連載されているケース。結局は建設断念となった。特に大家さんにはつらい思いをさせてしまった。

そして三か所目は生活介護事業所開設にあたって住民から反対があり、1年遅れての開設となった。ここでもほとんど意味不明のことで反対された。現在も悲しいことに当法人だけでなく全国でこのような事例の報告がある。

28年前、向陽園開設にあたってある地域で反対されて長谷堂地区で受け入れていただいた。初代理事長の伊藤泉氏は障害の重い利用者の施設建設に反対され涙されていた。神様仏様のような人たちの施設になぜ反対するのかとのことであった。

反対される住民は障害は自分の問題ではなく他人事としてとらえる。自分のこととしてとらえる当事者感覚はない。

しかし、反対される住民の狭間の中で苦労され推進派にまわっていただいた公民館長や地区長さんのことばを忘れない。「障害のある人に人権はないのか」「反対する住民の方が心に障害をもっている」とのはなしであった。一部に無理解による反対はあるが多くの地域で障害のある利用者への理解や支援の輪も確実に広がっている。

7回シリーズで取り上げていただけるとのことです。どうぞお読みください。そして当事者や家族の立場にたって理不尽や怒り、悲しみを力に変えて共生社会の実現のために力を尽くしたい。