社会福祉法人 愛泉会

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井上 博の「行雲流水」

愛泉会の利用者支援の基本理念について

 常務理事 井上 博

 愛泉会向陽園の実践も4月で29年目を向かえるがその中で利用者支援の基本理念について考え三つの理念として設定して20年近くなるだろうか。果たして時代も変わりこのままでいいのだろうかと思っているがそれほど古くなってもいないと思う。
まず「人権の尊重」依然として先日の千葉県事業団施設の職員による暴行殺害事件はじめ知的障害のある人に対する支援者による虐待事件があとを絶たない。障害者虐待防止法ができても少しも減らない。悲しいかな多くの知的障害のある利用者は言葉を持たず、不適切な対応を受けても抗議することも、反論することもできない。支援者にとって最優先は彼らの人権の擁護である。しかし、時代は流れて不適切な対応を受けないということだけではなく人として当然保障される権利が尊重される必要がある。「地域で生活する権利」「働き、活動する権利」「苦情を述べる権利」「質の高いサービスを受ける権利」「余暇を楽しむ権利」等々を保障する取組を行いたい。現在当法人の取組のなかで、入所施設向陽園から地域で生活する利用者は70名を超える。地域で生活し、地域で活動する仕組みをさらに推進したい。
二つ目は「自立支援」私は入所施設の職員として長く働いてきたがかつて入所施設は集団主義と訓練主義が支配的であった。障害のある人は長期間にわたって自立を強制される訓練を繰り返される。介助されることが少なるように日常生活面でも訓練され、毎日その繰り返しが長期間にわたって続く。そしてある人は施設でその生涯を終える。
現在の自立支援はひとりひとりの必要なサービスを受けて、自己決定による地域生活である。その発想はアメリカの自立生活運動に源を発する。障害のある人々は生活し活動するために必要なサービスを使う権利がある。それを保障するには各種のサービスが身近にあることが必要である。わが国わが県も障害のある方々の必要なサービスはまだまだ不十分である。必要な多くのサービスを立ち上げどんなに重い障害のある利用者も地域で生活できる基盤をつくりたい。
三つ目は「受容と共感」知的障害のある利用者は多く言葉を持たないため自分の想いは行動や仕草で表現することとなる。たとえばショートスティや施設入所で事前の情報もなく突然入所となる。すべては環境が変わる。人も場所も。どんなにつらくさびしいことであろうか。そしてその不安な想いは行動として現れる。
食べられなくなったり、突然施設から姿が見えなくなったり、自分の体を傷つけたり、物を壊したり、利用者のいわゆる課題行動のそのほとんどが孤独、淋しさ、あるいは体調不良からくるものであろう。そんな彼らの想いを受け止め共感することから私達の支援は始まる。彼らの想いを受け止め、彼らの障害から来るつらさや不自由さに共感することが大切である。私達支援者はこれまで多く行動だけを改善しようとして心内面にアプローチが足りなかったように思う。この三つの理念を大切にしながら又新しい思想や実践を参考にして利用者の自己実現につなげていきたいと思う。