心を癒すもの
多くの皆さんにご心配をいただきました。お蔭さまで少しずつ元気を回復してきました。
個人的には少し休みをいただき自分を内省する時を持ちたいが思うようにいかない。
渋谷さんが急逝され私自身大変動揺したのだが、試練や困難にあったとき人は何によって癒され回復していくのであろうか。
自らの死期を告げられたり、身近な家族との別れ、障害のある子供を授かること、大きな疾病、貧困等等人生には思いもかけないことが起こる。クライエントは生活の困難さを抱え苦しみや悲しみを一杯かかえ、私たちの前に現れる。私も現在の仕事について38年になるが長い間障害のある人の心の苦悩やつらさを理解していなかったように思う。利用者や家族の大変さはあまり実感がなく、若気の至りで正義感と上から目線のまさに指導に近い関わりが多く、利用者やご家族を傷つけていたように思う。
40歳をすぎ根拠のない自信と変な万能感があったとき突然配偶者の大病を告げられる。10ヶ月後の40歳という若さでの妻の死、中三、小6、幼稚園児を残しての旅立ちにはあまりに悲しく、愛おしくその厳しさに絶句した。
多くの人々の支えや心遣いによって乗り越えられたが人の心の傷を癒すものはなんであろうか。私の修士論文のテーマの一つであった。聖書、仏典の言葉、野に咲く一輪の花の姿、周りの人々のいたわりやまなざしや心遣い、時の流れ等々であった。
そして忘れられないのは障害のある利用者の存在、今は天国に召されたある利用者には本当に励まされた。
打ちひしがれて向陽園の玄関に行くと穏やかでそして明るくスリッパをそろえて自分の存在を受け止めてくれる。
障害を持ちながら施設という不自由な生活のなかで支援者たる自分を利用者の存在が励ましてくれる。
先日渋谷さんの後を追うように利用者のKさんが亡くなった。彼とは38年の付き合いだった。渋谷さんともKさんともいつか天国でお会いするまで一日一日をしっかり生きていこうと思う。利用者やご家族の苦悩を受け止めることのできるソーシャルワーカーとして成長したい。