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肩の力を抜いて自分らしく生きていけばいいんだよ展 ギャラリートーク「自分らしく生きていくとは?」

ぎゃらりーら・ら・らにおいて開催中の「肩の力を抜いて自分らしく生きて行けばいいんだよ」展のギャラリートークを3月16日(土)に開催しました。
宮城県からは出展作家の松浦繁さん、山形県からは長井市でアートプロジェクトを行う佐藤敬子さんをお招きして、「自分らしく生きていくためには?」をテーマにお話をお聞きしました。

山形県、宮城県から、アーティストや、福祉施設利用者や職員など12名が参加しました。

佐藤敬子さんより、出展作家の1人である秋葉庄平さんの制作の様子や展示会の様子、それを通しての変化や効果などをお聞きしました。「視覚、聴覚、言語障害があった秋葉さんは、ほとんど目が見えない状態でしたが、粘土を使い、ご自分で考えたユニークな鬼や、もののけを毎日たくさん制作しました。入所施設で生活する秋葉さんが、県内外で展示会や販売会を行い認められることで、社会との繋がりを持つことができる効果があったと思います。」


また、佐藤さんが関わっている入所施設での表現活動を通して表現活動の必要性や課題をお聞きしました。「日々の生活の中で、利用者さんが自分で選択をすることが少ない表現活動の時間は、色や形など自分で自由に決めることができ、その時間があることがその人らしく生きていくために必要なことでは。課題としては、福祉事業所によっては、表現活動の時間が減ってきている、まだまだ表現したいかたはたくさんいます。」と佐藤さん。

佐藤さんのお話をお聞きして、推進センターでも連携して、山形県内各地で表現できる場が増えていくように活動していきたいと思いました。

続いて、出展作家のもう一人、木彫作家の松浦繁さんとお母さんの由美子さんからお話をお聞きしました。

松浦さんは19歳で脳内出血を煩い、当時医師には「寝たきりになる」と言われましたが、辛いリハビリを頑張って続けられ、立ち歩行できるまでになりました。それまで自動車整備士をされていましたが、退職することになり、
入院中のリハビリで木彫に出会い、一時退院したときに「これから、何がしたい?」とお母さんが聞いたところ「木彫がしてみたい」と。身体に後遺症が残りながらも受け入れてくれるアトリエを探し、やっと出会ったのが仙台市内の「アトリエ創」の翁先生。それから約20年、左手のみで、10ヶ月に1作品のペースで作品制作を続けています。

「体が自由に動かなくならなければ、木彫はしていなかった。全く違う人生を送っていたと思う。でも体が動かなくなったおかげで作品がたくさん生まれた。」と松浦繁さん。デッサンをたくさん描いて、作りたい作品の方向性が決まったら先生に伝え、先生が木を調達してくれます。その木と出会ってから最終的な形をイメージしていきます。

うまくいかないこともたくさん経験されていると思いますが、受け入れる力と、前向きに自分で行動してそれを活かしていることが、作品制作と松浦さんの生きる姿勢とが重ね合うと思いました。

続いてみなさんで作品を一つひとつ鑑賞していき、モチーフやエピソードなどお聞きしました。「どうしてもポキンと折れてしまったり、開けるつもりがない穴が開いたりしてしまうことが多いんです。でもそれを失敗にしないで、受け入れて続けていくと穴やポキンを活かすことができて「なんかいいんじゃない?」という作品になっていきました。松浦さんは平成29年度宮城県芸術選奨新人賞を受賞という評価も受けて、20年以上続けてこられた努力が実を結んできています。

最後に、みなさんにとっての「自分らしく生きる」こととは?自分らしさを込めれるモノや事をご紹介ください、ということで、参加者のみなさんの作品をみんなで観る会を行いました。描いた絵や陶器やフェルト小物、や写真の作品をそれぞれ発表してくださいました。作品を発表する展示会の実行委員をすることに力を入れているかたは、ファイルした写真やチラシを見せてくれました。個人的に作品制作しているかたが参加者に多く、他の人の作品を観ることで刺激になると、終了後も情報交換のお話が尽きないようでした。

松浦繁さんについて日本財団のHP
https://www.diversity-in-the-arts.jp/stories/11656

文責:ぎゃらりーら・ら・ら武田和恵